苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ことごとく空事

 七月一日、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったあと、安倍総理は記者会見で国民向けの説明をした。それがことごとく空言(そらごと)なので、正しておきたい。もとの本文はNHKニュースのまとめ。もとの本文はNHKニュースのまとめ。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140701/k10015661261000.html

空言1  この中で、安倍総理大臣は1日の閣議決定について、「『集団的自衛権が現行憲法のもとで認められるのか』といった抽象的、観念的な議論ではない。国民の命と平和な暮らしを守るため、現行憲法のもとで何をなすべきかという議論だ」と述べました。

ホント1 集団的自衛権を行使して、米国の敵を日本が攻撃すれば、日本の敵になる。すると、アメリカといっしょに戦争した英国などと同じように日本国内でもテロが銀座や新宿や御堂筋でも起こる。自衛隊はテロを防げず、テロ防止のために日本社会は息苦しい夜警国家となる。
 また、これまで在外邦人は、平和国家日本を背景として、米国人・英国人が危険なところでもテロの標的とされずボランティアや経済活動ができたが、アメリカの戦争の手伝いをするようになれば、在外邦人もテロリズムの犠牲となる。集団的自衛権行使によって、国民の命と平和な暮らしは破壊される。

空言2  そのうえで安倍総理大臣は、「例えば海外で突然紛争が発生し、逃げようとする日本人をアメリカが救助・輸送しているとき日本近海で攻撃を受けるかもしれない。わが国自身への攻撃ではないが、日本人の命を守るために自衛隊アメリカの船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定だ」と述べました。

ホント2:これはまったくありえない話。米軍は、米国の民間人さえも保護輸送しない原則に立っている。軍用機は攻撃対象となり危険だからである。まして、他国人を運ぶことはありえない。自国民は自国民で運べというのが、米国の決定事項である。紛争時にはまず日本の民間機によって邦人輸送はされ、それが無理な状況ならば、自衛隊法では在外邦人保護のために自衛隊の航空機・船舶・車両が使用できるとしている。

追記
 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「ちょっと調べれば分かることですが、米国務省領事部は、米国民に対してさえ、民間人の輸送に米軍は関わらないと宣言しています。『米軍運搬手段や軍事エスコートがついた輸送手段は現実というよりハリウッドの脚本である』『多くは商業的輸送手段や地域のインフラに依存する』と公式見解をHPで示しているのです。自国民も輸送しないのに、外国人の救出など考えられません。この事実を政府が認めた意味は大きい。集団的自衛権の行使を容認するために国民をだますにはどうしたらいいか。日本人の命を前面に出せば、反対できないだろう。じゃあ、それと米艦船を結びつけたらどうか……と逆算して作り出したストーリーと思われても仕方がないでしょう」

空言3  そして安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使について、「ほかに手段がないときに限られ、かつ必要最小限度でなければならず、現行の憲法解釈の基本的考え方は今回の閣議決定においても何ら変わることはない。自衛隊がかつての湾岸戦争イラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」と述べ、行使容認が限定的なものであることを指摘しました。

ホント3:現行の憲法解釈とは180度変わっている。自衛隊は、今後、米国の世界戦略のなかで行なわれる戦争に戦闘員として加担させる。そもそも、それが目的の集団的自衛権行使容認なのである。

空言4  さらに安倍総理大臣は、「『外国を守るために日本が戦争に巻き込まれる』という誤解があるが、そのようなこともありえない。むしろ万全の備えをすること自体が日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく、大きな力を持っている。これが抑止力だ。今回の閣議決定によって、戦争に巻き込まれるおそれは一層なくなっていく」と述べ、閣議決定の意義を強調しました。

ホント4:売られてもいない喧嘩を買って出て相手をさんざんなぐっておいて、自分は喧嘩に巻き込まれないなどということは、どう考えてもありえない。

空言5  そして安倍総理大臣は、「今回の閣議決定を踏まえ、関連法案の作成チームを立ち上げ直ちに作業を開始したい。十分な検討を行い、準備ができしだい国会に法案を提出し、ご審議いただきたい。私は今後とも丁寧に説明を行いながら、国民の皆さんの理解を得る努力を続けていく」と述べました。

ホント5:関連法案十数本は衆参両院多数をもっているので、最後は強行採決すればよいと考えている。またテレビに出て国民に丁寧に間違った説明をするのだろう。