苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

「自衛隊を明記します」が「何も変わりません」の意図するところ

 木村さんの説明で安倍さんの加憲案の意図を解釈しています。なるほど、です。

木村草太氏「今の(改憲)提案って、自衛隊を明記しろという事を中心にやってますが。自衛隊明記するとどうなるんですか?って質問、国会でされてますけども。安倍さん『何も変わりません』って言ってるんですよ。憲法発議した時に何を我々は選ぶかというと、現状維持と今と変わらないの2択を選ばされるという事ですよ、国民投票で。選べないというかやる意味がないじゃないですか?同じですよね。安倍さんの説明だとそういう事になってるんですよ」
「それをやりたいというのは意味が分からないですよね。自衛隊を軍にして、これまでとは違うレベルの武力行使を出来るようにしますよ。どうしますか?って言われたら賛成とか反対とか色々意見持てますよね?でも、今と変わらないと現状維持を選ばされるんだったら、国民投票に行く意味もないですし、何の為に国民投票やるんだという事になりますよね」
「おまけに国民投票ただじゃないですからね。1回850億円程掛かりますし、直接の経費で850億円掛かる訳ですから。発議されれば、色んなものを使う訳ですよ。国民も忙しい時間を割いて、どんな案なのか分析しなければならないし。ラジオの電波でも流さなきゃならないですよね。本来別の情報を乗っけれた筈のところを、しょうもない提案に付き合わされて時間を浪費せざるを得ない事になっちゃうかも知れないので」
「やるんだったら、ちゃんと意味のある発議をして欲しいなと思いますよね。現在、自衛隊を明記しろと言ってる人達の狙いはどういう事かと言いますとですね。2015年に安保法制っていうのをやって、集団的自衛権というのをこれまで出来なかった筈のものを、部分的に解禁した事になってるんですよ。これは、自衛隊そのものよりももっと強い違憲の疑いを掛けられているんですね」
「なので本来、今の局面で改憲発議するなら、安保法制前の日本を守る部分だけしか武力行使はしませんって言う憲法と、集団的自衛権が出来ますという憲法のどっちを選びますかという形でかけなきゃいけないと思うんですよね。それかけられれば、あの時の議論に国民投票で決着がつけられるじゃないですか?」
「ところがそれやると、恐らくですけども今の政権の方々は不利だと思ってるんですよ。集団的自衛権の行使容認を憲法に書いて、それで可決してくれるかというと中々それは厳しいと見てると思いますね。安保法制の時の強い反対とか、世論調査見てやっぱり楽観は出来ないですね。でもだからといって、個別的自衛権までしか出来ないような憲法ですよって発議したら、集団的自衛権の部分が違憲である事が明々白々になっちゃう。というところで悩んでる訳ですね」
「なら、じゃあどうするかと言うと。こういう作戦だと思います。自衛隊を明記しますと、先ずプレゼンテーションするんですね。自衛隊を書くだけで、今までと全く変わりませんというふうに言う訳ですね。今までって中に集団的自衛権込みで入ってる訳ですよ。世論調査を見てると、集団的自衛権までは認めたくないけども、自衛隊を明記して個別的自衛権の範囲まではいいんじゃないかって言ってる人が結構いるんですね」
「で、そういう人達が、自衛隊を明記するだけですって言ったら、賛成に廻ってくれますよね。先ずこれで可決します。可決した後に、可決したのは今の自衛隊、つまり安保法制を前提にした自衛隊なので、この国民投票集団的自衛権が承認されましたっていうふうに、後から言い出すという作戦を取るんじゃないかなと思うんですよね。これなら可決して、集団的自衛権もいけると。私が改憲派の軍師だったらこういう作戦を作るんじゃないかと思います。それが一番有利な、、卑怯でしょ!」
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集団的自衛権、どこまで出来るか?非常に曖昧な状況なので。この状況で憲法に書くというのは難しいので。先ずどういう範囲でやるのか?集団的自衛権の条件というのをキチンと詰めて、国民投票にかける必要があるじゃないですかね。今国民が議論している自衛隊の問題って2つの問題があって。先ずそもそも個別的自衛権までの日本の防衛の為の自衛隊を認めますか?という論点。それとは別に、自衛隊に日本への攻撃がない場合の集団的自衛権の行使を認めますか?という個別的自衛権集団的自衛権も恐らく別の論点なんですね」
「なので、本来なら別々にかけて、第1投票、第2投票。自衛隊の明記までは賛成だよと言う人は1つ目丸して、2つ目バツすればいいし。集団的自衛権まで行こうって人は、両方丸をつければいい訳ですよね。そういうふうにやるのが本筋だと思います。集団的自衛権の部分が否決されたら、安保法制は取り下げですよ、国民投票で否決されたんですからっていう形で、安保法制をかけるような形で国民投票にかければ、非常に国民の意思としては示しやすい投票になるんですね」
「与党の側からすると、このやり方でやると結構しんどいとおもうんですよ。集団的自衛権だけを純粋に国民投票にかける形になりますから、第2投票では。可決の見通しが明るいかというと全然明るくない訳ですよ。与党としては出来るだけ誤摩化して曖昧にして、合体させて分からないうちに国民投票っという事をやってくれればありがたいなと思う訳ですよね。ごちゃ混ぜにしないように、キチンと明確に区分をする。こうしないとやはり、主権者国民に意志を聞いたって事にならない訳ですね」
大竹まこと×木村草太:ゴールデンラジオ オープニング 2018.2.26
https://www.youtube.com/watch?v=0o-ojYE1q-o
木村草太:大竹メインディッシュ 2018.2.26
https://www.youtube.com/watch?v=O-w2TNbHzxg

木村教授の話を整理してみます。
「9条に自衛隊を書き加えても何も変わりません」と答弁する。
集団的自衛権行使(我が国が攻撃されなくても米国の世界中での戦争に付き合う)には反対だが、個別的自衛権(我が国が攻撃されたら反撃すること)の自衛隊ならOKだと思う人も改憲に賛成する。
改憲が終わったら、「9条に書き加えた自衛隊は、すでに安保法制で集団的自衛権を行使できるとされた自衛隊ですよ」と明らかにする。

 結局、自衛隊集団的自衛権行使を正当化するために「自衛隊を明記」したいのですね。政府は、そうであるならそうだと、国民投票の前に正々堂々と明言すべきです。そうでなければ、国民の意思を正しく反映した投票結果は得られません。