苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

国政の私物化

 紀元前10世紀後半イスラエル王国は、サウル、ダビデ、ソロモンと続いた後、南北に分裂してしまった。それは、ソロモンの息子レハブアムの振る舞いのせいであった。

  12:6 レハブアム王は、父ソロモンが生きている間ソロモンに仕えていた長老たちに相談して、「この民にどう答えたらよいと思うか」と言った。 12:7 彼らは王に答えて言った。「きょう、あなたが、この民のしもべとなって彼らに仕え、彼らに答え、彼らに親切なことばをかけてやってくださるなら、彼らはいつまでもあなたのしもべとなるでしょう。」
12:8 しかし、彼はこの長老たちの与えた助言を退け、彼とともに育ち、彼に仕えている若者たちに相談して、 12:9 彼らに言った。「この民に何と返答したらよいと思うか。彼らは私に『あなたの父上が私たちに負わせたくびきを軽くしてください』と言って来たのだが。」
12:10 彼とともに育った若者たちは答えて言った。「『あなたの父上は私たちのくびきを重くした。だから、あなたは、それを私たちの肩から、軽くしてください』と言ってあなたに申し出たこの民に、こう答えたらいいでしょう。あなたは彼らにこう言ってやりなさい。『私の小指は父の腰よりも太い。 12:11 私の父はおまえたちに重いくびきを負わせたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりでおまえたちを懲らしめよう』と。」
  12:12 ヤロブアムと、すべての民は、三日目にレハブアムのところに来た。王が、「三日目に私のところに戻って来なさい」と言って命じたからである。 12:13 王は荒々しく民に答え、長老たちが彼に与えた助言を退け、 12:14 若者たちの助言どおり、彼らに答えてこう言った。「私の父はおまえたちのくびきを重くしたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりでおまえたちを懲らしめよう。」
(1列王記12章)

 レハブアム王は、「税を軽くして穏健な政治を行なうようにするように」という長老たちの助言を退け、「重税をもって民を支配せよ」という取り巻きの若い日からの「お友だち」を集めて私的諮問会議を開き、彼らのことばを採用した。国民からたくさん税金を搾り取って、父ソロモンに負けない積極的で華々しい政治・軍事を行ないたいと思ったのだろう。国政の私物化である。その結果、王国に内戦が起こり乱れて結局は南北に分裂してしまった。
 安倍さんの振る舞いを見ていると、このレハブアム王の出来事と二重写しに見えて仕方がない。自民党の長老たち、加藤紘一野中広務古賀誠福田康夫といった自民党の長老たちがこぞって安倍政権の「戦争できる国」への暴走を批判するのを無視して、「お友だち」で周りを固めて、国政を私している。NHKに送り込んだ国粋主義メンバーも、集団的自衛権行使をあおる安保法制私的懇談会メンバーもみんな、安倍さんの耳に心地よいことだけを述べる「お友だち」ばかりなのだ。内閣自体、森田実さんは「極右はしゃぎすぎ内閣」と命名した。
 古代イスラエル王国は内乱、分裂にいたった。この国はどうなるのだろうか。