苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

自民政権が目指す憲法改正の中身

 「憲法改正を目指す」と安倍総理は国会で明言しましたから、彼の目指す憲法改正の中身はどういうものであるかを見定めておきましょう。自民党は2014年4月27日に憲法改正草案を公表して、その目標を明示していますから、「常識的に考えて、そこまではやらないんじゃないか」などという根拠のない希望的観測を捨てることが必要です。今の自民党はかつての自民党とは異なる極右政党です。もはや常識は通用しません。

  自民憲法改正案 http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

自民党憲法改正の目標

1.基本的人権を制限する。(現行憲法最高法規97条最高法規を削除する)

現行憲法 第十章 最高法規
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 基本的人権の敵視、これが自民党憲法改正の基本姿勢である。


2.憲法で国民を縛る。(改正案102条)

現行憲法
 99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

自民改憲
102条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う

  
3.国権を民権に優越させる。
(改正案11,12,13条)

自民改憲
 12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
13条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。

 「公益及び公の秩序」は国民の権利に優越するという点。国権は民権に優越するということ。


4.国防軍を持ち集団的自衛権を制約なしに行使する(改正案9条)。

自民改憲
9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

国防軍

第9条2 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。(筆者注:「その他の統制」とあるので国会の承認なしでもOKという意味)

国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。(筆者注:特定秘密保護法ですでに実施)

国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。(筆者注:軍事裁判。「逃亡兵は死刑」という発言を石破氏がしていました。)

第9条の3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。(筆者注:「国民と協力して」とは、戦時になれば船員を徴兵、国民の土地建物を没収する)

5.天皇を元首化する。(改正案1条)

1条 天皇は日本国の元首であり、云々・・・。


6.国旗国歌尊重を義務化する(改正案3条)

3条 国旗は日章旗とし、国家は君が代とする。

7.社会的儀礼と称して靖国神社参拝を国民に強制する(改正案20条3項)
 閣僚の公式参拝だけでなく、公教育に靖国参拝をプログラム化する。

20条 3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。


8.緊急事態宣言で、国会を無視して閣議決定を法律的効力を持つものとする。(改正案98,99条)

 ヒトラーが類似の全権委任法で全権を掌握してドイツを戦争に暴走させたことは周知のとおり。

(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

(緊急事態の宣言の効果)

第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

詳細はこちら参照

http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20130107/p1