苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

資源エネルギー庁が重い腰を上げてメタンハイドレート調査開始

 朗報。資源エネルギー庁は、大枚を投じた太平洋側で一応の調査・採掘実験の成功ということで面子をほどこすことができたからか、ようやく重い腰を上げて、前々から指摘されていた有用なかたちで存在していることがわかっている日本海メタンハイドレートの本格調査を始めた。太平洋側のメタンハイドレートは砂層型なので現在のところ採掘コストがかかりすぎるが、日本海側は表層にごろごろあるのでかんたんに採掘し利用することができる。
 わが国はこのメタンハイドレートでエネルギー自給の可能性があるが、国際社会が日本のエネルギー自立を許容するかどうかが問題だそうである。

メタンハイドレート調査開始 日本海での資源量を把握へ
SankeiBiz 6月8日(土)8時15分配信
 経済産業省資源エネルギー庁は7日、次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」の日本海での資源量を把握するための調査を8日から始めると発表した。上越沖と能登半島西方沖で7月20日まで調査する予定。経産省は今後3年間、日本海で集中的な調査を実施し、埋蔵量の把握に取り組む方針だ。

 調査は産業技術総合研究所と明治大に委託、海洋調査船「第7開洋丸」を使い、音波で海底の地形や地質構造を把握する。夏以降は、今回の調査を踏まえ、有望海域で自動探査機を使った詳細な地質調査を行い、2014年度にも試掘に乗り出す。

 また、14年度には秋田県山形県沖と島根県隠岐島周辺、15年度には北海道周辺でも調査する。日本海メタンハイドレートは「表層型」といわれ、水深500メートル以上の海底の表面に一部が露出し、塊の状態で存在する。今年3月に太平洋側で産出試験に成功したのは「砂層型」と呼ばれ、水深約1000メートルの海底から数百メートル下で砂と混じり合って存在する。これに比べると、まとまった量の回収には技術的な課題があるとされる。

 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分となるメタンガスと水が低温・高圧の環境下で結晶化した氷のような形状をした物質。火をつけると燃えるため「燃える氷」といわれる。日本近海には国内の天然ガス消費量の100年分に相当する埋蔵量があるともいわれており、資源の少ない日本にとって貴重な国産エネルギー資源となる可能性があると期待が高まっている。

さらに、青山千春氏の解説。

“第四の資源”メタンハイドレートが日本で大量産出される?
週プレNEWS 6月4日(火)20時10分配信
資源が少ないといわれる日本だが、近年の調査・研究で大きな可能性が広がってきている。そのひとつが“燃える氷”メタンハイドレートだ。石油、石炭、天然ガスに次ぐ“第四の資源”の大量産出は、決して夢物語ではない!

■世界で初めてガスの洋上採取に成功

メタンハイドレートとは何か。長らくその探査・研究に携わってきた独立総合研究所の水産学博士、青山千春氏がこう話す。

「海底にあるメタンと水で構成された塊で、見た目は氷のようですが、火を近づけると燃えだすので“燃える氷”といわれます。天然ガスの主成分メタンを大量に含み、1立法メートルのメタンハイドレートから、その160〜170倍のメタンガスを取り出せるのでガス資源としてポテンシャルが高く、石油、石炭、天然ガスに次ぐ“第四の埋蔵資源”として期待されています」

今年3月、愛知県の80km沖合で、そのメタンハイドレートからガスを取り出す実験に、洋上では日本が世界で初めて成功した。

「その地点では水深1000mの海底の300m下にメタンハイドレートの層がありました。まず海底を掘り、次に船から長さ1300mのパイプを海底に突き刺す。そのまま海底下で圧力を下げて水とガスに分解し、ガスだけを船上に吸い上げる。世界的にも前例のない減圧法と呼ばれる手法でガスの採取に成功しました」(青山氏)

実験に使われた探査船「ちきゅう」号の船尾から噴き出る炎は日本の明るい未来を象徴していた。

「日本が資源を買う国から、資源を持つ国に変わる可能性があることを世界に知らしめるきっかけにもなりました」(青山氏)

この話は決して夢物語ではない。

「今回の狭い採掘現場だけで、日本のLNG(液化天然ガス)輸入量の約11年分に相当するメタンハイドレートがあることがわかっています。日本近海全体で見れば国内の天然ガス消費量の約100年分とみられています」(青山氏)
そして、“メタンハイドレート大国”へ向け、国はこんな計画を打ち出している。

「3年間でメタンハイドレートの分布を集中調査し、5年後に民間企業が開発に参入できる技術を確立させ(商業化)、10年後に実用化するというものです」(青山氏)

だが、実験では課題も見えた。

「生産コストです。米国産シェールガスの15倍以上、日本のLNG輸入価格の3倍以上」(青山氏)

なぜ、そんなに高くなる?

「海底下の資源の有無は音の反射を利用する物理探査法で調べていますが、多大な時間とコストがかかる上、失敗することも少なくありません。その上、水深1000m以上の海底で数百mも穴を掘ったり、ガスを取り出す作業を行ないますから高コストになるのも当然。技術改良でどこまでコストを削減できるかが喫緊(きっきん)の課題です」(青山氏)

国の計画は絵に描いた餅? だが、これは太平洋側に限った話である。より実用性の高いメタンハイドレートはむしろ、日本海の海底に眠っていたのだ。

■本当に狙うべきは日本海の表層型!

国のメタンハイドレート開発は約10年前に始まり、これまでに総額500億円以上の予算が注がれた。

「ただし、それは太平洋側に限定されたもので、日本海側はほぼ手つかずの状態でした」(青山氏)

そこで青山氏ら共同研究グループは03年に日本海側で独自の探査に着手。04年に早々と新潟県上越沖で驚愕の事実を発見した。

「海底に膨大な量のメタンハイドレートが露出していたんです。太平洋側のメタンハイドレートの特徴は、水深1000mより深い海底のさらに数百m下に砂と混じって分布する深層型・砂層型であること。一方の日本海側は表層型といい、水深1000mより浅い海底のすぐ下に結晶状で層が広がっています。海底に露出している例も珍しくない」(青山氏)
表層型のメリット、その1。

「表層型はメタンハイドレートから溶け出したガスが海面に向かって上昇し、大規模なものでは東京スカイツリーほどの高さ(634m)の巨大な泡の柱が形成されます。これは、浅いところにメタンハイドレートがあるからこその現象で、太平洋側では稀。特筆すべきは、柱の根元に必ずメタンハイドレートの層があるということ。つまり、百発百中でメタンハイドレートを掘り当てられる」(青山氏)

ガスの柱はどう見つける?

「巨大な探査船は不要。漁船にある魚群探知機で検知できます。つまり、探査にかかるコストは漁船の燃油費くらいのもの。私はこの技術で、日本と米豪中韓ロの特許を持っていますが、特許使用料は一切、取りません。だから広く研究者から漁師も協力できます。漁師の副業ともなり、漁港の活性化にもつながる」(青山氏)

表層型のメリット、その2。

「愛知県沖の実験で用いられた減圧法ではガスを採取する際、パイプに砂が詰まるなどの不具合が起こりましたが、表層型ではそんな実績の少ない特殊な技術を使う必要がありません。海底土木工事の延長でメタンハイドレートを取り出せます。青函トンネル関門トンネルの建設に裏打ちされた日本の海底土木技術は世界トップクラスです」(青山氏)

表層型のメリット、その3。難しい話になるが、これがスゴイ!

「海洋のメタンハイドレートは、有機物が微生物によって分解されることで資源化された微生物分解起源のものが一般的でしたが、日本海側で発見されているのは海底下数kmの深部ガスに由来する熱分解起源のメタンハイドレート。地球深部から無尽蔵に湧出するガスによって生成されるわけです。つまり、地球の活動が続く限りメタンハイドレートは生成され続けるので資源が枯渇する心配がなくなる可能性があります」(青山氏)

埋蔵量は無限大!

メタンハイドレートから取るメタンガスは火力発電に使っている天然ガスの主成分ですから、運搬や発電は既存のインフラを最小限の改良で活用できる。つまり、ガスの取り出しさえうまくいけば、すぐにでも発電し、都市ガスとしての供給もできます」(青山氏)

日本海の開発を急げ!

(取材・文/菅沼 慶 興山英雄)