苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

利子の付くお金と環境問題

   数年前、『エンデの遺言』を見て、メモしたことです。


Q1 環境破壊の元凶は人間と自然を区別するキリスト教であり、人間を自然と一体のものとして捉える東洋的宗教が環境問題解決のかぎを持つという議論を聞きますが?
A 歴史を検証すると、キリスト教文明と呼ばれる欧米だけでなく、自然宗教(汎神論・多神教)文明のメソポタミア、インド、中国でも、環境破壊が起きています。ですから、キリスト教の世界観が環境破壊をもたらしたとも、東洋的宗教が環境問題解決のかぎとなるとも言うことはできません。


Q2 では、歴史的検証によれば、環境破壊の元凶とはなんなのでしょうか?
A 人間の度を越した富への欲、むさぼりです。メソポタミアの砂漠化は農業・牧畜のための森林伐採と灌漑農法による塩害によるものでした。ゴビ砂漠万里の長城を築くために大量のレンガ製造のために森林が燃料とされたことによってできたとされます。西欧では12世紀の森林破壊は農業革命と農地拡大によります。西欧17世紀の森林破壊は植民地主義時代の建艦競争によるものでした。そして、18世紀以降、世界に急速に拡大した環境破壊は、産業革命市場経済の世界への拡大によるものです。現在、中国でもインドでも森林伐採、環境破壊は農業・工業などの経済活動が過熱したことによって起こっています。


Q3 環境問題の根本原因とはなんでしょうか?
A それは「むさぼり」です。神が与えてくださった正当な権利があるものを欲することは悪いことではありませんが、「むさぼり」とは、正当な権利がないものまで欲しがる分をわきまえない欲求であり、第十戒の禁じる罪です。


Q4 主イエスは富のむさぼりについてなんと教えられましたか。
A 主は富はえてして、神に代わる偶像となることを指摘なさいました。「だれも、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛したり、一方を重んじて他方を軽んじたりするからです。あなたがたは、神にも仕え、また富にも仕えるということはできません。」マタイ6:24

Q5 人はなぜ金銭を欲しがり蓄える拝金主義に陥るのでしょうか?
A 第一に、金銭以外のものは時とともに価値が減じていくものですが、金銭は老化することなく、また扱いようによっては利子がつくことによって価値が増えていくものであるからです。
第二に、金銭は他のさまざまなものと交換することができるので、一見、すべてのものの価値の基準であるかのごとく見なされるようになるからです。


Q6 利子の付く通貨、拝金主義が環境におよぼす影響はどのようなことでしょうか?
A 借金をして事業を展開した場合、借金の利子を返すために、その企業は現状維持ではなく成長することを強いられることになります。経済規模が成長しなければ、倒れてしまいます。ですから、こうした経済活動の総体としての世界経済も成長を強いられるわけです。この利子の付く通貨の場合、経済規模の成長は二次関数のカーブを描きますから、環境の許容範囲を超えてしまうのです。

Q7 では、環境を配慮して、通貨について世界ではどのような工夫が試みられているでしょうか?
A 老化する金銭、すなわち、マイナス利子をつける地域通貨と呼ばれるものです。地域通貨の効用は、第一に都市と農村の格差拡大を防ぎます。第二の効用は不景気なときに通貨をたくわえる動機を抑制することによって、蓄財と不景気の悪循環を防止します。第三の効用は利子が付かないので企業活動は無理な拡大を強制されないので、経済成長による環境への悪影響を抑制します。