苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

子どもの甲状腺異常が全国的に半数?

1. 昨年9月11日に公表された検査では、福島の子どもたちのうち、甲状腺異常(しこり、のう胞)が男女平均43パーセント。

2.NHK 2013年3月8日 15時51分 によれば、「原発事故を受けて、福島県が子どもを対象に行っている甲状腺の検査で、小さなしこりなどが見つかった割合が、福島県以外(弘前甲府、長崎)で行った検査の結果と同じ傾向だったことが分かった」そうです。すなわち、検査した3歳から18歳までの合わせて4365人のうち、福島の検査で確認された小さなしこりなどが56.6%で見つかり、福島県とほぼ同じ傾向だった・・というのです。ただし、弘前甲府、長崎での調査結果の内訳はなぜか公表されていません。

3.これは何を意味しているのでしょう?NHKニュースによれば「環境省は、福島県での検査結果は原発事故の影響によるものとは考えにくい」としています。たしかに事故前から全国的にそういう数字であったというなら、環境省のことばには説得力があって、少し安心できるのですが、事故が起こる前、2000年に放射能汚染のない長崎で山下俊一氏が7歳から14歳の子どもに同様の検査をした結果では0.8%であったのです。下記のリンク先3−4ページ参照。
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou131Matsuzaki-opinion.pdf

4.もし事故後の長崎、弘前甲府の調査結果が同じ程度であったと仮定すると、事故前は全国的に0.8パーセントだった子どもの甲状腺異常が、事故後、全国的に50パーセント程度にまで跳ね上がったということになります。311以降、福島は他府県と同じように正常だというわけでなく、ぎゃくに、他府県でも福島のように異常が生じていると見るのが、論理的には筋が通っています。しかし、そういう判断が正しいとは考えにくいでしょう。

5.問題は、弘前甲府、長崎の調査結果の内訳が公表されないことです。福島からあれほど遠隔地の長崎が事故前0.8パーセントだったのに、急に50パーセントに激増しているとは考えにくいことです。長崎は事故前とさして変わらず、弘前甲府がひどかったので、あるいは、弘前甲府の高すぎる数字を下げるために長崎のデータを混ぜて平均をとったのかもしれません。・・・そんな推測も可能ですが、もっと別の事情かもしれませんから、真相はわかりません。


追記
 下記のサイトでは、東京の伊藤病院では、36パーセント出たと報告されています。<関西と東京の子どものエコー検査をした医師から、「事故時に関西にいた赤ん坊は全くのう胞がないが、東京にいた赤ん坊は、ほぼ全員に小さいのう胞が数多く出た」と聞かされた>という情報もここにあります。私の住む東信州では子どもの甲状腺異常(しこり・のう胞)とか鼻血が多発したという話は、まったく聞きませんでしたが、東京、埼玉、千葉の友人たちからは子どもが事故後、急にたくさん鼻血を出すようになったという話をいくつか聞きました。また甲状腺に小さなのう胞がたくさんできたことも。
http://inventsolitude.sblo.jp/article/63081238.html

 普通に考えて、そういうことだろうと思います。関東は311の直後、実際に放射性ヨウ素で汚染されましたから。放射性ヨウ素は8日で二分の一16日で四分の一と減っていきます。この放射性ヨウ素甲状腺の異常(のう胞・しこり)を引き起こします。
 ただし、甲状腺のう胞、しこりのほとんどは良性のものであって、悪性はまれです。また、かりに甲状腺がんとなっても、治療可能ですし、命取りになるケースはごくごくまれですから恐れすぎる必要はありません。福島だけでなく関東圏の親たちは、311後1週間放射性ヨウ素を受けた可能性があると思われる子どもたちについては、甲状腺検査を定期的にすることが必要ではないかとわたしは思います。

  チェルノブイリ事故被災三カ国における小児甲状腺ガン発生数
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/JHT/JHT9602.html