96条を改正し、発議条件を衆参両院で「3分の2以上」から「過半数」に緩めることには44・7%が「反対」で、「賛成」(42・1%)をやや上回った。(4月23日)
産経新聞という右寄り新聞でさえ、おそらくシブシブこういうアンケート結果を出している。「96条をいじることは、立憲主義そのものを壊すことだ」ということに、賢明な国民は気づき始めたのである。
立憲主義とは、権力者が好き勝手なことをしないように憲法をもって制限をかけるという仕組みのことである。ところで、権力者というのは議席の過半数を押さえた党派である。だから、世界中の憲法では、過半数では改憲の発議はできないように、特別多数(3分の2や5分の3)を要求するように定められているわけである。
ところが、呆れたことに、その過半数をもつ権力自身が、「改憲に関する発議に3分の2を要するのは変だ、過半数にすべきだ」と言っている。しかも、「手続きにすぎない」だの「諸外国の憲法はもっと変えやすいのだ」とウソをばらまき国民をだまして、3分の2を過半数にしてしまおうとしている。これは、単に憲法を改めるのではなく、立憲主義そのものの破壊である。
改憲論者の憲法学者の小林節氏(慶応大学教授・憲法学)までも、自民党の暴挙には怒り心頭に発して、今、自民党が画策していることは、改憲ではなくて「壊憲」だと述べている。