苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

この参議院選挙のテーマは憲法です

 この参議院選挙は、私たちの子や孫の生命を直接大きく左右する重要な選挙である。その最大のテーマは憲法
 ニュースによれば自民党は街頭演説では憲法を語らないという。長野県選出の自民の某議員は、TVで「憲法改正には関心がありません」などとしらじらしくも発言していたが、彼は自民の憲法改正草案の委員なのだ。しかし、自民党の公約には、こっそりと一番最後に控えめに、そして「自民改憲草案」へのリンクすら貼らずに憲法改正について書かれている。これでは、あるブロガーのいうとおり、まるで催眠商法である。・・・というか、今の安倍自民党霊感商法統一協会によく似てきた。てっぺんから末端まで平気でウソばかりついているという点で。
http://korede.iinoka.net/?p=597
 憲法は聖書とちがって不磨の大典ではないから、少しくらい変えてもよいと思っている人も多いかもしれない。抽象論としては、そのとおりだが、具体的な状況に対する認識不足である。というのは、以前も、このブログで取り上げたが、自民党が考えている憲法改正の中身はそんなものではないからである。テレビの討論で、ある女性の自民党幹部は、「平和主義、基本的人権の尊重、そして国民主権、この基本原則は変えない」と、まゆも動かさないでウソをついていた。
 数日前、紹介した映像にあるように、第一次安倍政権で法務大臣を務めた長勢甚遠氏は、自民改憲草案発表の会で「基本的人権国民主権・平和主義を取り除かなければ、ほんとうの自主憲法にはならない」と恐るべき発言をしている。かの女性幹部は「国民の生活が第一という政治は間違っているとわたしは思います」と発言している。憲法改正草案では、「基本的人権国民主権・平和主義」という言葉は残されているが、骨抜きにされているのだ。
 憲法9条についての自民改憲草案は、自衛隊を位置づけるというような内容でなく、これを国防軍にして集団的自衛権を世界中どこでも使えるようにするというものである。
 日本国憲法基本的人権を尊重し、報道の自由表現の自由職業選択の自由、信教の自由など様々な自由を保障している。しかし、自民党憲法改正草案は、「公益及び公の秩序」に反すると権力者が判定すればこれらの自由を蹂躙できるという中身である。
 さらに重大問題は「緊急事態条項」。時の権力者が「緊急事態だ」と判断すれば、無期限に、国会には事後承諾で、法律と同等の力をもつ法令を定めることができるというものだ。濱田元最高裁判事は、安倍政権が改憲の最優先項目に掲げる自民党改憲案の緊急事態条項について、「正気の人が書いた条文とは思えない。」「新設されてしまえば世界に例を見ない悪法になる」と言っている。
 安倍政権は、これまで二度の選挙でも、選挙の時にはアベノミクスだけを語り、選挙が終わったら、公約に小さく書いてあった集団的自衛権や、特定秘密保護法を強行してきた。今度はさすがに世界中から破綻を指摘されているアベノミクスを持ち出さないだろうと思っていたら、ナントカのひとつおぼえで持ち出してきた。これで国民がもしも改憲勢力に3分の2の議席を与えてしまったら、「われわれは国民の信託を得た」といって、公約の一番最後にこっそり書いておいた改憲に突き進む腹積もりだろう。そうなったら国民はもっとナントカだ。
 今度の参議院選挙は、信教の自由・思想信条の自由・表現の自由基本的人権が守れるかいなか、9条を変えてどこでも戦争をする国になるかどうか、日本の歴史の分岐点である。私たちの家庭、子や孫の将来をしっかり考えて、選挙に臨みたい。
 
 だが、野党に政権を委ねられるかというと、なんとも頼りないという印象の人が多いだろう。筆者もその一人である。だが、それで選挙に行かなければ、3割の組織票をもつ与党の勝利なのである。野党で組織票をもつのは共産党だけだそうである。今度の選挙は政権選択の選挙ではなく、改憲発議の是非を問う選挙である。基本的人権国民主権・平和主義を望まない人は、改憲勢力に票を投じるか棄権するがのよい。基本的人権国民主権・平和主義を支持する人は、とにかく選挙に出かけて非改憲派に票を投じる必要がある。


自民憲法改正草案の中身については、こちら↓
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20160215/p1