苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

がれき処理問題は情緒的にでなく科学的に

 がれき処理問題について、政府とそれに載せられたマスメディアは「日本人の絆の真価が問われている!」などとヒステリックなことば、あるいは道徳的責任を問うことばで国民をけしかけ、瓦礫の広域処理を訴える人を非国民呼ばわりせんばかりです。しかし、これは情緒やイデオロギーの問題でなく科学の問題です。頭を冷やしてほしい。
 権力をもっている人々が、愛国心とか絆などの情緒的ことばで、反対の声を「非国民」として黙らせようとするときには、彼らは何か都合の悪いことを隠そうとしていることが多いのです。客観的な数字を示すと実態がばれてしまうので、情緒的・道徳的なことばで実態を隠しているのです。こういう国家の習性については黙示録13章11節の「小羊の角をもちながら、竜のことばを話す」第二の獣についての記述から学びました。第二の獣とは、現代日本でいえば官報化したマスコミです。第一の獣は国家です。
 客観的な数字を挙げてみましょう。瓦礫の量は2300万トンです。1900万トンは被災地で処理するが、そのうち400万トンだけは被災地以外で処理しなければならないという理由はなんなのでしょうか。しかも、被災地は新しい処理施設を望んでいるのに、それを無視して、はるばる莫大なお金をかけて遠くにトラックや船で運んで処理するそうです。放射能を拡散し、全国の農地も地下水も河川も汚染させ、結局、全国民で放射能を共有すること、日本の農産物の国際的評判をますます落とすことが、「国民の絆」を確認することになるのでしょうか?

 被災地以外で瓦礫処理をする別の目的があるとしたらなんでしょう。ちなみに、東京都に搬入予定の瓦礫処理を受け入れる元請け企業は、東京電力が95.5%の株式を保有する東京臨海リサイクルパワーという会社です。放射能をばらまいて、その瓦礫処理でさらに莫大な利益を得る会社が原子力ムラの中にあります。どうやら原子力ムラにとって瓦礫処理とは、科学の問題でも道徳の問題でもなく、実は、おかねの問題のように見えます。
 瓦礫処理についてはいろんなことが絡んでいますが、頭を冷やして瓦礫問題を冷静に考えるのに役立った二つの文章を下に紹介します。

「がれき広域処理」は愚の骨頂-「放射性物質は拡散せず封じ込める」が放射線防護の鉄則
http://blogos.com/article/34640/

「瓦礫」のトリック・・・その危険性とトリックを正しく知ろう
http://takedanet.com/2012/02/post_740a.html

追記1>瓦礫受け入れをいの一番に表明した島田市の市長さんについては、こちら参照。http://mercury7.biz/archives/15103 受け入れ自治体の首長のみんながみんな、そうだとはかぎらないでしょうが。がれき処理業者、がれき運送をする運送業・海運業者がこのことから莫大な利益を得ることをもくろんでいるようですね。
追記1−2 2012年6月21日>
 島田市長は廃棄物処理業者とはいっても、木材チップではなく、金属類の処理業と関係あるだけということが、後日報道されました。島田市長は「ここで退いたら男がすたる」「いずれ東海地震が来たらお世話にならなきゃいけない」という理由で、ガレキ受け入れを強行したと言明しています。
追記2>政府から圧力を受けて、あちこちの自治体が手を上げていますが、焼却灰をどうするつもりなんでしょうか。焼却灰は放射能が圧縮されて高濃度放射性汚染物質になりますから、どこにもやり場がなくなってしまう可能性が高いのです。実際、千葉県柏市はもう焼却灰のやり場がなくて困り果てていることは、NHKも報道していました。受け入れて、いくらかお金をもらっても、そのあとどうするのか自治体はちゃんと考えているんでしょうか? 情緒的に、あるいは経済的な理由から瓦礫を受け入れても、最後は科学的な問題にぶつかることになるのです。

http://shinurayasu.wordpress.com/2011/12/13/放射能都市濃縮:子どもたちの疎開を検討すべ/