苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原発輸出は相手国民の大迷惑

野田佳彦首相、田嶋要経済産業大臣 玄葉光一郎外務大臣

              原発の海外輸出は相手国の大迷惑

 首相ご就任、経済産業大臣外務大臣、ご就任おめでとうございます。国難の時代に、よくぞ重い責任をになってくださいました。よろしくお願い申し上げます。
 さて民主党の新成長戦略のひとつに、原発の海外輸出がありました。具体的輸出先としてベトナム、タイ、インド、そして大地震国トルコという名が挙がっています。筆者は、三つの理由で、これは相手国の大迷惑だと思っています。その三点を述べ、最後に代替案を述べます。

 第一に、これらの国々は、国内資源が乏しいので、原発を導入しようとしています。ところが、ウランはカロリーベースでいえば石油の数分の一しかありません。しかも、現状とちがって、あっちこっちで原発を使い始めれば、当然、ウラン価格は高騰し、かつ、さらにすみやかに枯渇してしまいます。高速増殖炉という技術が蜃気楼にすぎなかった事実が判明した以上、これが原発の現実です。こうした将来性の無い商品を売りつけることは、詐欺ではないかとすら思います。

 小出裕章氏によれば、「かりに究極埋蔵量の全てを利用できるとすれば、石炭だけで、現在の人類の使用量の 1000 年分あります。次に多い資源に「オイルシェール」や「タールサンド」という、現在では使いにくいため利用されていない資源があります。さらに現在の私達の文明がどっぷりと依存している「石油」、使いやすいために最近急激に使用量が増加してきた「天然ガス」もあります。この天然ガスは最近になって相次いで有望な資源が発見され、天然ガスだけでもおそらく人類の 1000 年分の消費量をまかなえるという推定もあるほどです。
これらがすべて「化石燃料」ですが、「化石燃料がなくなるから原子力」と言われた原子力の資源であるウランは、一番右にある小さな四角しか資源がありません。原子力を推進する人たちの宣伝とは裏腹に、そして多くの人々が抱かせられた幻想とは違って、ウラン資源は石油に比べても数分の1、石炭に比べれば100 分の1しかないという大変貧弱な資源なのでした。」(小出裕章「化石燃料とウラン」))

 原発輸出が大迷惑だという理由の第二は、私どもが今体験しつつあるこの危険性です。ひとたび原発が破綻すれば、その被害はあまりにも甚大であり、あまりにも深刻であり、それをこうむった国民はあまりにも悲惨です。原発事故は、その国の経済を破綻させ、その国と隣国の国土を汚染して居住不能とし、農林畜産漁業の基盤を破壊し、国民を格別あすを担うべき子どもたちの健康と生命を脅かします。また日本は島国ですから、海洋汚染・大気汚染はしたけれど、比較的隣国の加害は少ないのですが陸続きの国ではそうは行きません。(もっとも4年後、環太平洋諸国から国際的賠償が請求される可能性があるとの情報があります)

 原発輸出が大迷惑だという理由の第三は、かりに建設から廃炉まで数十年事故なくすぎたとしても、その間に排出された莫大な核のゴミをどうするかという問題は、その国の経済と安全とを半永久的に脅かし続けるという現実です。原発を輸出すれば、いずれ国際関係を破壊するもととなりましょうし、そこに生じたプルトニウム核兵器拡散にもつながることになります。

 私はむしろ十分に資源があり比較的安全で、日本が世界トップレベルの技術のある、石炭ガス化コンバインド発電や、天然ガスコンバインド発電を提供するほうが、よほど相手国の益となり、長期的な良好な国際関係の維持にとって有益だと思います。
 よろしく再検討ください。

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 以上を首相官邸の意見箱に投書した。だが、相手国にも原発を導入して懐を肥やす連中がいるわけなのだろう。トルコなど、311での破綻直後、日本からの原発輸入方針は変わらないと言明していた。いったいどれほどの原発マネーが流れたのか。大迷惑なのは一般国民であって、権力者や先方国の電力会社重役などは濡れ手に粟の大もうけなのであろう。

追記
 イランで原発が稼動・発電を始めたというニュースがきょう流れた。今後20基も造る予定だという。イランといえば地震国。イランには油田もあるのだから、なにも危険な原発など必要ないではないかと思われるのだが。実際には、北朝鮮と同じように原発を稼動することによって核兵器の材料を作りたいわけで、そうしてアメリカを牽制したいのでろう。しかし、あの地震国に原発はあまりにも危険だ。アメリカが攻撃しないうちに、自滅する可能性が高い。




  千曲川増水

  相木川にかかるJR小海線の鉄橋。千曲川との合流ポイント。千曲川と相木川で水の色がちがいます。この鉄橋、風合いがなかなかいいでしょう。