苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

教理体系見直し3 人間論ー堕落後

3.人間論―堕落後

(1)人は主の戒めに背いて、神との関係における秩序を破壊し、神との霊的断絶状態になった。これが霊的死を意味する。
 サタンに憑依されたへびは、「あなたは神のようになり、善悪を知るようになる」(創世記3:5)と誘惑した。人は、へびの誘惑に負けて、「善悪の知識の木からとって食べてはならない」という主の戒めに背いた。こうして人は神の主権を拒絶して、自分が自分の主権者であるという態度を取った。人は、自分自身を自分の神としようしたということである。


(2)神に反逆した人は、自律できるかと思いきや、サタンの奴隷となった
 サタンは人が神からも自由になり自律的になると言ったが、サタンは初めから嘘つきであった。人はサタンと肉の欲の奴隷となってしまった。肉とは必ずしも肉体を意味するのではなく、神に反逆する自己中心的な性質を意味している。
 「あなたがたは自分の罪過と罪との中に死んでいた者であって、そのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいました。私たちもみな、かつては不従順の子らの中にあって、自分の肉の欲の中に生き、肉と心の望むままを行い、ほかの人たちと同じように、生まれながら御怒りを受けるべき子らでした。」(エペソ2:1-3)


(3)人が神に反逆した結果、人の内面において欲望は意志に反逆するようになった
 人が主の戒めに背いたとき、彼らは性器を恥じて隠した。その理由は、自らの意志をもって性欲を統御できなくなってしまったからである。
「このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、いちじくの葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。」(創世記3:7)
アウグスティヌスは次のように言っている。「人間は、かれ自身においてあらゆる仕方で自己自身の力で統御するというわけにはいかなくなり、かえって、自己自身と不和となって、あれほど熱望していた自由のかわりに、罪を犯すことによってサタンと和合することとなって、そのもとに苛酷で悲惨な隷従の生を生きるようになったのである。」(神の国14:15)


(4)人が神に反逆し、サタンの支配にあって肉の欲望を統御できなくなった結果、夫婦の関係は変質した
 夫婦間の堕落前の本来的関係は、<愛を伴うリーダーシップをとる夫と尊敬を伴う従順な妻>だったが、<無責任な夫と不従順な妻>もしくは、<暴君的夫と隷従する妻>となってしまった。
「人は言った。『あなたが私のそばに置かれたこの女が、あの木から取って私にくれたので、私は食べたのです。』」(創世記3:12)
「女にはこう仰せられた。『わたしは、あなたのうめきと苦しみを大いに増す。あなたは、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる。』」(創世記3:16)


(5)人が神に反逆した結果、人と土地(被造物)の秩序も変質した
 被造物には人に敵対する傾向が生じ、滅びの束縛の中に置かれることになった。
「また、人に仰せられた。『あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。』 」(創世記3:17,18)
「被造物自体も、滅びの束縛から解放され、神の子どもたちの栄光の自由の中に入れられます。私たちは、被造物全体が今に至るまで、ともにうめきともに産みの苦しみをしていることを知っています。」(ローマ8:21,22)


(6)人は肉体的にも死ぬことになった
「あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない。」(創世記3:19)


(7)アダムは人類の代表であったので、その罪と罪の結果としての悲惨は彼の子孫に受け継がれた。
「そういうわけで、ちょうどひとりの人によって罪が世界に入り、罪によって死が入り、こうして死が全人類に広がったのと同様に、──それというのも全人類が罪を犯したからです。」(ローマ5:12)
「ああ、私は咎ある者として生まれ、罪ある者として母は私をみごもりました。」(詩篇51:5)