苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

不思議な白いガス風船

 ついてくるとえば、小さい頃、不思議な風船があった。小学校2年生のころだった。どこかで母が白いガス風船をもらってきて、私にくれた。その白いガス風船は、なぜか私についてくるのだった。セルロイドの下敷きで起こる静電気の場合のように、くっつくわけではなく、15センチか20センチくらいの距離を置いて、どこにいってもついてくる。私が立ち止まると風船も止まる。いっしょに遊んでいる一つ上の兄には決してついていかない。ただ私にだけついてくるのである。
 「じゃあ。階段を上ってみたらどうかな。」と、家の中の階段を上ってみると、ちゃんと白い風船はふわふわと私のあとを追って上ってくる。「変やなあ。」「ふしぎやなあ。」と兄と風船をよくよく観察するが、何の変哲もない真っ白い風船である。ただ奇妙なのは、どこかの広告用の風船であろうに、字も絵もなにも書かれていなかったことである。だがべつに不気味ではなかった。
 翌朝になって見たら、白いガス風船は元気がなくなって、ぷらーんと垂らした糸の先が十センチほど床にくっついていた。そして、もう私についてこなくなっていた。学校から帰ってみると、風船はしわしわのおばあさんみたいになっていた。
 その後、ときどきガス風船をもらうことはあったが、二度と、私についてくる風船に出会ったことはない。今思い返しても、不思議な、幼い日の経験である。夢ではない。兄も覚えているのだから。読者のうちのどなたか似た経験をしたというかたはいらっしゃるだろうか。