ミニダックスのロダは、なぜかいつも私にくっついてくる。今も机の下で私の足を枕にして寝ている。一日出かけて夕方に帰ってくると、誰より先に飛び出してきて、尻尾もちぎれよといわんばかりに左右に振りながら、くるくると回る。犬というのは、うれしいとほんとうに三遍回ってワンというのである。
ソファに腰掛けると、ピョンと横に来てもたれかかり、私のひざに頭を乗せる。私が畳の上にごろりと横になると、そばにやってきていっしょにごろんとなっている。トイレに立ってもくっついてきて、ドアの前で神妙に待っている。出てくるとまん丸の目でじっと私を見つめて首をかしげる。
私の書き物仕事はたいてい深夜におよぶので、さすがのロダも眠くなって家族といっしょに寝静まってしまう。寝るときだけは妻といっしょなのだ。私は風呂に入って、デンタルフロスをして、歯を磨いて、風呂を上がったら毛生え薬(?)をふりかけて、水をコップ一杯飲んで、さて、と寝室の戸を静かに開けて自分のふとんに入る。すると暗闇の中、ロダは私の気配を感じて家内のふとんからこちらにカシャカシャ足音を立ててやってきて二三分私のそばに座ってあいさつをして、それから家内のふとんのほうに戻って行って寝る。猫は爪がひっこむから足音がしないが、犬は歩くとカシャカシャ音がするのである。
おい、ロダ。ぼくは、うちの奥さんにもこんなに慕われたことがないので、照れてしまうよ。