ときどき、「今だに・・・・」という文字遣いを見ることがある。「いまだに」を漢字で書くならば「未だに」である。
また、「未」という文字は漢文で再読文字で、「いまだ・・・ず(打消し)」と読むことになっている。つまり、「まだ・・・ではない」という意味である。「未来」は「いまだ来らず」であるし、「未購入」は「いまだ購入せず」であり、「未発達」は「いまだ発達せず」である。
これらの例からわかるように、「いまだ」には打消しが呼応する。ところが、最近は「彼は90歳なのにいまだに頭脳明晰です」というふうに、打消しが呼応していない文を見かけることが多い。この場合、正しくは「彼は90歳なのに今も頭脳明晰です」というふうに「未だに」ではなく「今も」というのが適切だろう。