むかし、小さなM君が、コップをひっくり返して水がこぼれてしまうという経験をした。そこでM君は、ひっくり返しても水がこぼれないコップというのを発明して図面を描いて、説明してくれた。ところが、ひっくり返してもこぼれないコップというのは、何度説明をされても、(ストローで飲むなら別だが)飲めないコップであることに気づいた。コップで水を飲むという行為の本質は、コップをひっくり返してその水を口にこぼすということだからである。コップをひっくり返してこぼすというリスクを取らなければ、水を飲むことはできない。
なんだか、このとき、すごく大事なことを教えられた気持ちがした。それは、今、ことばに置き換えると、「リスクを取らなければ、私たちは前に進むことはできない。」ということかなあ。