苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

愛と性欲

「しかし、アムノンは彼女の言うことを聞こうとはせず、彼女をはずかしめて、これと寝た。
 ところがアムノンは、ひどい憎しみにかられて、彼女をきらった。その憎しみは、彼がいだいた恋よりもひどかった。アムノンは彼女に言った。『さあ、出て行け。』」第二サムエル十三章


 アムノン青年はタマルに恋いこがれ、悪友の手引きによってタマルとふたりっきりになり、彼女を辱めてしまいました。すると、今までのタマルへのアムノンの熱情は急速に冷え、熱情は憎しみに変わったのです。
 なぜか。アムノンは自覚していたかどうかは分かりませんが、実は単にタマルの肉体に対して欲望を抱いていたにすぎず、タマルその人に対する愛などは無かったからです。欲望と愛情を混同していたにすぎません。空腹な狼が満腹すれば、獲物に見向きもしなくなるように、アムノンはタマルを捨てたのです。
 今日、若い娘たちがいとも簡単に「恋人」にからだを許してしまうという風潮があります。高文研のアンケートで「初体験の動機は?」という質問に対して、女子の答えのうち、「愛していたから」「好きだったから」「強要されて」という三つの合計が七十パーセント近くを占めています。これに対して、男子の答えは「性欲から」「好奇心で」「セックスにあこがれて」という三つの答えの合計が五十パーセントを超えています。
 このアンケートが意味することはなんでしょうか。それは、女性は男性がセックスを求めてくるとき、「断ったら嫌われてしまうかもしれない。」とか、「私をそんなに愛していてくれるなら。」と思ってからだを許してしまうのですが、男のほうは「相手は誰でもよい。単に性欲のはけ口が欲しかっただけ。」という場合がままあることを意味しています。そして、その動機が欲望にすぎなければ、当然、欲望が満たされると同時に興味は薄れてしまいます。
 男の性欲には、そういうだらしない面があります。だからこそ、会ったことも話したこともない女性のヌード写真集などが売れるわけです。だから、娘さんたち、「おれが好きなら・・・。」と求める男は、たいていあなたを単なる性欲のはけ口に利用としているのです。三浦綾子さんのエッセーにあったのですが、かつてプレイボーイとして鳴らした男がこう言ったそうです。「ボクはたくさん女を抱いたけれど、妻とは結婚まで手を握ることさえ、ためらいましたよ。大事なひとでしたから。」
中学生以上の娘さんたちには、ぜひ知っておいて欲しい現実です。本気であなたの人格を愛している男性は、軽軽しくあなたの肉体を欲しがったりはしません。また、娘さんにおよそロマンチックではない男の性欲の現実をはっきりと教えてやることも親の務めの一つと思います。このページを読ませてあげるのも、一法。(通信小海84号2000年10月に加筆) 


追記
 しかし、近年の風潮では、どうも若い娘たちのほうもおかしくなってきているのかなあとも思います。


   朝顔に線路とられて小海線