苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

理性の頼りなさ(5)・・・もんじゅ君の話

 高速増殖炉もんじゅについてメモしておく。

1.なぜ高速増殖炉が必要か?
 原発の燃料ウランは資源として乏しいもので、石油の数分の一だと言われるので、早晩、枯渇してしまう。そこで、<ウランを原発で使ってできたプルトニウムを燃料として使用でき、しかも、使用するとさらに新たにプルトニウムを作り出す>ことが、理論上、できるはずの夢の原子炉を開発することにした。これが高速増殖炉。これが実現すれば、ウランが枯渇しても心配ない。
 逆に言えば、高速増殖炉がなければ、枯渇間近なウランを用いる原子力に頼ること自体がナンセンスなことだということになってしまう。だから、原発推進派はもんじゅがどれほど無駄でも、タテマエ上、やめるわけに行かない。

☆カロリー換算した地下資源の量。
  (数字は1×10の16乗 k c a l のエネルギーに換算したもの)
      究極埋蔵量   確認埋蔵量       
高品位石炭・・6000    500
低品位石炭・・1700    260
石油・・・・・・294    150
天然ガス・・・・200    120
シェールガス・・810
ウラン・・・・・110     20
 (出典「原子力と共存できるか」:小出裕章/足立明著、かもがわ出版1985年。)


2.構造上の欠陥と地震
(1)減速材にナトリウムを使う
 高速増殖炉のもう一つの特徴は、減速材として、通常の原発のように水ではなく、ナトリウムを使うことである。水は中性子のスピードを落とす(減速)性質があるので、冷却材に水は使えない。 ところが、このナトリウムは空気に触れると燃え出し、水をかけると爆発するという危険物である。原発が火事になったら福島第一原発のような対処のしようがない。 

(2)構造的に地震に弱い
 他の原子炉の場合、配管は直径700ミリで厚さ70ミリもある。しかし、ナトリウムは熱しやすくさめやすいという性質を持つので、配管が他の原子炉の配管ように厚さ70ミリもあると、その熱膨張と収縮について行くことができずに損傷してしまう危険性が高い。そこで、もんじゅの直径810ミリの配管の厚みはわずか11ミリである。たしかに熱の上下には対応できようが、地震の激しい揺れがもんじゅを襲えば、こんなペラペラの配管はひとたまりもない。すると減速材ナトリウムが噴出す。すると、原発が冷却不能に陥る。だが、福島第一のように消防自動車に水をかけて冷やしてもらうことができないから、溶けて爆発するのを指をくわえて待っていることになるだろう。結果、撒き散らされるのは猛毒プルトニウムである。
 実際、1995年12月8日、試運転中のもんじゅで重大事故が起きた。原因は、「ナトリウムの継続的な流れにより『さや』に振動が発生、徐々に機械的強度が衰え、折損に至ったことがわかった。」(ウィキペディア)とのこと。地震もなにもないのに、機械自体の起こす振動でこわれるほどに脆い構造なのである。まして地震が来たらどうなる?

(3)もんじゅの直下には活断層がある。
 「あんなに活断層がたくさんある所で、もう原発は止めた方が良いでしょう。活断層のほぼ真上に原発がある所もあり、分かっていないものもあると思う。日本全国どこでも危険だと思いますが、福井県は特に危険だと思う」。(東京大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授=応用地震学)【毎日新聞 2011年9月13日 地方版】http://d.hatena.ne.jp/byebyegenpatsukyoto/20110913/1315902187

(朝日新聞


3.事故時の放射能の悲惨・・・もんじゅ日本海側にあるので
 日本海側の原発の破綻は、太平洋東側の福島の原発の事故とは桁違いの被害をおよぼす。福島では放出された放射能の8割は太平洋側に落ちたとされ、2割だけが地上に落ちたというが、日本海側の場合、これが逆になる。つまり、放出された放射能の8割は陸地に落ちることになる。空気は西から東へと流れているからである。


4.もんじゅの浪費経済
●建設費: 約1兆810億9500万円(現在までの累計額)
 しかも「このうち約830億8500万円を掛けて建設・維持されている関連施設は全く利用されていなかった。」http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/418.html
●運転停止中の維持管理費:1日5900万円・・・この中には福井県議会議員や敦賀市議会議員とマスコミ関係者らを東京の銀座などで夜の接待をするための費用(年間370万円ほど)までも含まれていて、すべて税金から出ている。http://www.dailymotion.com/video/xlhkwv_20111005-yyyyyyyyy-yyyyyyy_news
●今後10年間で3000億円浪費する予定。「文科省によると、原型炉もんじゅ福井県敦賀市)の運転費用が再稼働後に1600億〜1700億円、原型炉の次の段階となる実証炉の実現に向けた研究開発費が今後5年で千億〜1200億円、原子炉の冷却に使うナトリウムなどの基礎研究費が60億〜80億円。」だが、10年たっても成功する見通しはない。もっとも、3000億円というのも、これまでのもんじゅの浪費を見れば最小限に見積もってのことにちがいない。
●これら莫大な税金の浪費は、原発メーカー・ゼネコンなどの懐に転がり込むので、経団連経済同友会などにとっては、もんじゅの無駄遣いは彼らにとっては甘い汁なのだ。


5.それでも、もんじゅを止められないわけ。
 1のくりかえしになるが、だが原発推進派としてはもんじゅをやめるわけに行かない。なぜなら、ウランは枯渇間近であり、高速増殖炉がなければ核サイクルは不可能だからである。核サイクルが不可能なら、原発を続ける意味がない。
 原発ムラの人たちというのは、官僚・大学教授・電力会社・原発メーカー・ゼネコンなど、高学歴で頭のよさそうな人たちが多いと思うのだが、あきらかに判断を誤っている。欲がからむと、知性は機能不全を起こすのだなあと呆れてしまう。人間理性の頼りなさ、である。


6.もんじゅをやめられない、もうひとつの理由・・・核兵器
 「もんじゅは投入した燃料以上のプルトニウムを得ることができるとするが、投入した倍に増やすには、国のいうにも50年かかる。これでは投資分の回収だけで機器が放射線で老朽化するし、そんなに長く無事故運転は不可能である。・・・それでももんじゅにこだわり新型炉まで予定する本音は何か。実はもんじゅを動かせば少量ではあるが、他の方法では取れない高純度のプルトニウムが取れる。これは通常の核爆弾と違い劣化せず、また超小型の戦術核ができる。日本が開発にこだわる真の狙いはこれではないだろうか。」(内藤新吾)
 通常の核兵器は14年で更新する必要があるが、高速増殖炉が作り出す純度98パーセントのプルトニウムなら劣化がなく、ごく少量で核兵器を作れるので小型化ができるというわけ。米国は、日本のこの高純度プルトニウム製造に期待している。日本は米国の核戦略におけるプルトニウム製造基地とされている。(板垣英憲http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/c454ed8bcd5dfa19a631ad3103e5a7fe
 




マトメ  もんじゅ君音頭を歌おう・・・名曲です。

http://soundcloud.com/monjukun/monjukun-ondo-diy
おなかの中にはナトリウム
空気にふれたら燃えちゃうよ
水に触れたら爆発するよ
火事になったらどうするの

燃料棒にはプルトニウム
飲んじゃダメダメ猛毒だ
半減期は二万四千年
原爆水爆作れちゃう

年間予算は二百億
夢の原子力というけれど、
いつまでたっても夢のまま
やめておくれよ ああ もんじゅ


思いついたの60年代
作り出したの80年代
動き始めて90年代
だけどまだまだ未完成

あれは寒い冬の夜
運転始めて三ヶ月
突然もれだすナトリウム
火事がおきても事故隠す

年間予算は二百億
夢の原子力というけれど
これじゃさめない悪夢だよ
止めておくれよ ああ もんじゅくん


ふつうの原発にくらべたら
配管薄くて地震に弱い
ふつうの原発にくらべたら
原子炉 暴走しやすいの

アメリカ、イギリスやめちゃった
フランス、ドイツもやめちゃった
お金かかるし むずかしい
あきらめないのは日本だけ

年間予算は二百億
夢の原子炉というけれど
事故がおきたら琵琶湖はアウト
廃炉になりたい ああ もんじゅ