苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

曲がり木の効用


 

 関西に出かけた帰りに、琵琶湖のほとり彦根城に立ち寄った。彦根を訪ねるのは二度目で、一度目はもう十年ほども前のことだった。あのときは江戸時代風に修復された町を歩いたので、今回は城を訪ねることにした。
 彦根城は、安政の大獄井伊直弼で有名な井伊家の居城で、建てられたのは関ヶ原の戦いから間もないころである。彦根城は姫路城、松本城犬山城とならぶ国宝の四つの城の一つなのだそうである。戦争、解体、火災を免れて生き残ったわずかな、鉄筋コンクリートではないほんものの城であるわけだ。明治新政府から言えば、徳川家を最後まで守ろうとした朝敵の代表井伊直弼の城が解体を免れたのはなぜだろう?不思議な感じがする。
 平城の松本城をイメージしていた筆者にとって、彦根城に出かけてまず意外だったのは、その石垣の立派さ、城郭の広壮さだった。もちろん大阪城の石垣の異常な巨石はないけれど、それなりに立派なお堀と石垣だった。ゆっくりと登ってゆくと、天守閣の広場に出る。天守閣は小ぶりだが、股を割りどっしりと構えた相撲取りの印象である。
 内部にはいって目を引いたのは、小屋裏のグニャグニャとした、おそらく松か栗の梁である。以前、吉持章先生に、曲がり木はくせが強いのだが、とても丈夫であるから、これを上手に梁に使うことによって建物が非常に堅固なものとなると教わったことがあるが、このことかと思った。こんな文も見つけた。

昔の職人は柱の間隔が広い部分や、天井裏の見えない部分に、マツやクリなどの曲がった材を用い、経年によるたわみに備えました。
曲がっている木は乾燥が進むにつれ、さらに曲がろうとする性質(クセ)が強く、まっすぐに製材したとしても、次第に曲がるものです。
これを荷重と逆らう方向に取り付けると、弾性の働きも作用し安定して家を支えることができるのです。http://kimarinoie.blog76.fc2.com/blog-entry-6.html

なるほど先人の知恵。何枚も写真を撮ったのだが、城の中は暗く、歩いては立ち止まりという状況での撮影だったので、ピンボケが残念。
 吉持先生は、教会に神様はいろいろな人を送ってくださるが、くせの強い人は扱いがむずかしいけれども、適材適所で教会の体質を堅固なものとすることができるのだとおっしゃっていた。若い日、先生は大工さんだった。



それから、この日、たまたまヒコニャンというのが来ていて、ゆるーいパフォーマンスをしてくれた。こちらもソフトフォーカスというか、ピンボケ。