苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

現実的技術的な脱原発・・・・広瀬氏の話


  ↑クチベニスイセン

 広瀬隆氏が国会議員たちを前に講演された。「福島巨大事故・・今何が必要か?」http://www.videonews.com/press-club/0804/001872.php
 「脱原発」は理想論・道徳論に傾きがちだが、そうでなく、たいへん現実的な話。特にコンバインドサイクル天然ガス発電の紹介はよい。以下、簡単に内容をメモしておく。後半は、地震の情勢と脱原発の必要と放射能汚染のこと。

はじめに
 この夏、中部電力の実力からすれば、電力供給は需要を十分満たすことができる。浜岡を止めてもなんら支障はない。異常な猛暑の昨年夏でさえ、中電は原発抜きで15%の余裕があった。

1.脱原発の現実的方法


a.世界の発電の主流はLNG液化天然ガス)である。
 近年のコンバインドサイクル発電機は熱効率・機動性ともにすぐれ、CO2排出量も少なく、天然ガスは360年分の埋蔵量がある。機動性というのは、つけっ放しの原発とちがって、需要にあわせてON,OFFが自由だということ。日本にも優秀なコンバインドサイクル発電機がすでに稼動している。重厚長大危険な原発でなく、こちらを用いるべきだ。東電にも原発部門以外には優秀な技術者がいるが、原発だと国から莫大な補助金を持ってこられる法律があるので、原発部門のみ出世するようになっているのがいけない。
(筆者:ジェットエンジンを地上に置いたようなカッコいい発電機である。コンバインド・・・名前が長すぎるな。コンサイ発電だと大根やごぼうみたいだけど。根菜発電。コン発でどうだ。)
http://www.fepc.or.jp/learn/hatsuden/fire/combined_cycle/index.html
http://www.youtube.com/watch?v=hmweaK4dTZc

b.原発が、2007年に総電力量に占めた割合は、全国で23.5パーセントにすぎない。「原発は3分の1」というイメージは間違い。

c.その他の発電技術について
 太陽電池風力発電では、業務用・産業用は賄えないし、いずれも非常に大きな面積を必要とし、風力については環境破壊もする。地熱発電は温泉地のお湯を奪うことになるし、地震を誘発する。たいへん有望なのは燃料電池

d.電力自由化のためには、送電と発電の分離の法制化が必須。
 現状では電力会社が送電線使用量を高く取るので、自家発電が参入できず、独占状態で電気料金が高い。
 多くの企業が大量の自家発電施設をすでに持っていて、総量4000万KWある。原発の分は、これでまかなえる数字である。送電と発電を分離し、送電の自由化を果たせば、この4000万KWの自家発電が活かせて、脱原発が可能となる。

e.脱原発にあたって原発設置自治体への配慮が必要。
 2011年度原子力のための国家予算は4330億円に上る。これをまず原発を廃止するためには、かつて炭鉱閉鎖して石油に切り替えるときに、国が資金援助をしたように、原発のある自治体には交付金に代わる資金に用いる。そして、新たな産業を興すことができるようにすることが必要だ。
 また4330億円の多くが、機能していない六ヶ所村処理工場ともんじゅの維持に使われてきた。この莫大な資金を、燃料電池など有力な代替発電技術に注ぐべきだ。現状、燃料電池に割かれたのは、わずか81億円の予算のみである。


2.福島原発浜岡原発と同型)の事故について
a.11日に70気圧あった炉が12日には9気圧に下がった。これはわずか550ガルの地震で配管が損傷したからである。次に津波で冷却材喪失し、次に水素ガス発生し、圧力容器→格納容器→建屋上部にたまって爆発となった。
 配管損傷というのは、宙吊りになっている数10トンの再循環ポンプの部分の損傷であると考えられる。わずか550ガルで配管亀裂というのは、原発の決定的な弱点を示している。しかし、東電はこの事実を隠していると思われる。なぜなら、この宙吊りの再循環ポンプという弱点はすべての原発に共通だから。岩波「世界」5月号参照。

b.浜岡原発停止は評価する。しかし、防潮堤・高所に電源移設という対策では、東海地震にはまったく無力である。

c.その他の原発もみな危険である。
 柏崎原発は絶対に動かしてはいけない危険なものを、動かしている状態であり、先の事故でひずんだ部分が次の地震で破断する。柏崎は浜岡より地盤がさらに軟弱。
 敦賀若狭湾原発福井県はかつて地震が多かったが1948年の大地震を最後に静穏期にはいった。ところが2000年阪神大震災を皮切りに、次々と鳥取能登など大きな地震が起きはじめた。
 地震の活動期にすでに入ったこの日本列島において、安全な原発はない。

d.高レベル放射性廃棄物はやり場がない状態である。地中に埋めてはいけない。いずれ地震で漏れ出して、地下水に流れ込むことになるから。地上で管理すべきである。現在、六ヶ所村に3000トン、福島に2500トン、その他の原発にも同じように放射性廃棄物が置かれた状態である。危険極まりない。


3.子どもたちの放射能被曝、集団疎開の必要
 3月17日原子力安全委員会が一般人の年間被曝量を1ミリシーベルトの基準を20ミリシーベルトに引き上げた。原発作業員でさえ5ミリシーベルトを超える人は滅多にいないにもかかわらず。それを子どもにまで適用するとはとんでもない話。子どもたちの10年後20年後の発病が悲惨。体内被曝は、対外被曝の100倍になる。
 国は、子どもたちを集団で学童疎開まずさせるべきである。そして、十分に除洗作業をすませた後に、戻すべきである。