今朝(5月10日)ラジオに内橋克人さんが登場して、「問われる日本のエネルギー政策」というテーマで話をしていた。デンマークの実践例の紹介である。感銘を受けたので、その後半の本論の要点をここにメモしておく。
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1.世界は日本のエネルギー政策に注目している
政府は中電に浜岡原発全面停止を要請したが、それは中電が計画している防波堤の完成・非常用ガスタービンの高台への移設までということであり、その後、運転再開することになっている。新しいエネルギー政策への決断がなされたわけではない。
(筆者:2年後運転再開は狂気の沙汰である。地震ハザードステーションは2005年1月1日を起算日として、30年以内に87%東海地震が来ると言っていた。2011年になっても87%なのが不思議なのだが、2005年1月1日を起算日としたことからいえば、2年後には22年以内に93〜94%ほどの確率で東海地震は来ることになる。)
日本はこれからどういうエネルギー政策を選択していくのか、世界も注目している。もともと民主党は2007年の参議院選挙のマニュフェストでは風力・太陽光・バイオマスなど再生可能エネルギーを組み合わせた分散型電力供給システムの構築を目指すと掲げていた。
それが去年6月、菅政権誕生と同時に反故にされた。そして逆に民主政権下で策定された『エネルギー基本計画』では、2030年に向けて電力の50%を原発に依存して、しかも原発を(海外に輸出できる)戦略的な産業に育てるとしている。こうして原発の新増設 14基、既存の54基に加えて 68基になる。
(筆者:ウランの埋蔵量はカロリーベースで石油の3分の1、石炭の100分の1しかないのに、なんという愚劣な政策だろう。なぜここまでの変節がなされたのだろう?)
国民的合意もないままに、小さな地震列島の海沿いに、私たちの暮らす社会を原発で囲い込んでしまおうというのである。
しかし今日本がどのようなエネルギー選択を行うのか、厳しい世界の目が見ている。国策としてのエネルギー基本計画を見直すのかどうかが見られている。
(筆者:5月10日夕方、菅首相は、エネルギー基本計画は白紙とすると表明した。「今後のエネルギー政策については、『原子力については、何よりも安全性をしっかりと確保する。原子力、化石燃料に加えて、太陽、風力、バイオマス(発電)というのを基幹エネルギーにする。省エネ社会をつくることも、もう一つのエネルギー政策の柱になる』と述べた。」)
2.エネルギー需要はそのままでGDPは倍増したデンマークの模範
エネルギー政策転換を可能にするものは、以下の3点。
①国や社会の理念
②理念を実現する政策
③政策を裏付ける実践する制度
そういう長期のかつ整合性の取れた国家的取り組みが必要である。『転換への国家意思』、『国民的合意』、これがあれば「エネルギー転換」は決して不可能ではない。
福島第一原発の破綻と環境汚染でこれだけひどい目にあっていながら、「自然の再生可能エネルギーへの転換というのは非現実的だ」、「脱原発は夢物語だ」こうした言説が再び息を吹き返しているが、「本当でしょうか」と、問わざるを得ない。
(筆者:原発ムラの連中がまた暗闇で策動し、マスコミを誘導していると思われる。原発ムラとは、原発推進政治家・官僚・電力会社・ゼネコン・原発メーカー・原発推進御用学者たち。)
デンマークは、どのようにして再生可能エネルギーを増やしていったのか、その要点を簡単に話しておきたい。まず1973年石油ショックの時、デンマークのエネルギー自給率はわずかに1.5%だった。それが現在は180%から200パーセントになっている。
①まず国家目標を立て、”化石燃料・原発に依らず自給率を高める”と。
そしてそれぞれ目標年次を設定した。
②次に5つの政策を立てた。
第一に、国内でのエネルギー効率を高めていく。
第二に、エネルギーの需要そのものを国内で抑制していく。
第三に、市民共同で発電にあたる『市民共同発電方式』。土地・資金を市民が出し合い、共同化して既存の電力会社に買い取り義務を課す。
第四に、新しい税制度そして設備投資への補助制度。つまり、再生可能エネルギーによって得られた電力への徹底した例外的 優遇措置。つまり課税対象からの除外する、さらには税の還付制度。
第五に、差別的補助金の制度。補助金の補助率を、設備資金の最初は30%まで補助をすると、そして時を経て、20%、15%、10%と時を経て引き下げて、他の太陽光・バイオマス・ヒートポンプ、そういった多様なより難しいエネルギー源への補助を増やしていった。
こういった制度をとることによって、エネルギー消費の総量を増やすことなく 、GDPは現在、石油危機の時の 2倍にまで拡大しているのである。
『エネルギー消費を減らしながら国民生活を豊かにする』という国策に向けて英知を結集して ついに目標を達したのである。今こそ私たちも賢いエネルギー選択に知恵を絞らなければならない時ではないか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜以上引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本という国の存続を望むならば、首相は、「トイレのないマンション」である原発利権に群がってきた、東電をパトロンとする経済評論家や、電力会社やあまたの原発関連法人を天下り先と予定してきた経済産業省の官僚ではなく、内橋克人氏のような人をこそブレインとして、耳を傾けるべきではないだろうか。・・・と提案を首相に送ってみました。