苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

土と水と空気さえあれば


 教会の篠原さんに紹介されたビデオ。
 第一のメッセンジャー肥田舜太郎医師。肥田氏は、広島原爆に遭った人々のために、その医師としての生涯をささげて来られた方。低線量被曝による原爆症原発症の実態をだれよりも多く見てこられた医者として、話をされる。
 避難所にいる方たちのなかには、すでに低線量内部被曝による最初の症状である「下痢が止まらない」という症状を呈する方たちが出始めているという報告には戦慄をおぼえる。下痢はさまざまな理由から起るので、原爆症=原発症によるかどうか即断はむずかしい気がするが。肥田医師はその診療経験から、この秋から来春にかけて多くの人々に原爆症=原発症による症状が出始めるだろうと警告され、原子力によらないエネルギーをと訴えられる。

 第二のメッセンジャーは、大塚愛さん。岡山出身の彼女は、夫君とともに自給自足の農業と大工を営むため、福島県双葉郡川内村に住んでおられた。しかし、3月11日に幼い子どもたちをつれて、その地を去らねばならなくなった。
「人はお金がなくても、土と水と空気さえあれば生きて行けます。
 どんなにお金があっても、それだけでは生きて行けません。
 私たちの命をささえるのは、この大地と水を空気です。
 その一番たいせつなものを福島県の人たちは奪われてしまいました。
 これから5年10年ずっと長い間、どうぞ福島の人たちに思いを寄せて、
 関心をもって、そして愛を送ってあげてください。」
ということばが胸に迫った。
 昨晩のニュースで神奈川県足柄のお茶からも規定以上の放射性セシウムが発見され、静岡のお茶もモニタリングが始まると報道があった。
 

近く計画的避難 福島・飯舘村の苦悩
 今朝、計画的避難区域に指定された飯舘村の方たちの苦悩をニュースで見た。認知症になり、介護の必要なおばあちゃんを在宅でめんどうみてこられた夫婦は、これまでは大きな声を出しても徘徊しても村の人たちが理解し、助けてくれたけれども、避難所生活ではそうは行かない、どうしたらいいのかと頭を抱えている。
 また、16頭の乳牛を育てて51年間酪農を営んでこられた夫婦。新しい地に移動して牛を飼うにも設備・施設がむずかしい。結局、妊娠している牛を別に「処分」するほかなしということになった。トラックに載せられるとき前足をつっぱって抵抗する牛は自分の運命がわかっているのだろうか。奥さんは「もっと長くいっしょにいたかったのに。」と荷台の隙間から牛の鼻をなでて泣いていた。ご主人は「原発さえなければ、こんなことには・・・。原発が我々の生活をこわしてしまった。これからどうしていけばいいの。」と言われた。

追記5月12日夜>
 福島原発第1号機の「水棺」作業を進めていたが、水がほとんど炉にないことが判明。しかも、炉の温度は百度少しということなので、燃料棒はあすでにメルトダウンして、溶けたものがかろうじて炉の底の水の中で冷やされているのではないかという(東電の説明)。小出先生は、あるいは炉の底は溶けて抜け落ちて格納容器の底の水の中でアンパン状になっているのではないかという(小出先生説)。これであの大量の高度の放射能に汚染された水の由来がわかった。事故を小さく解釈しよう、小さく見せかけようという努力はむなしく終わった。