突然の停電だった。夜8時20分から30分間もの、長い停電となった。外を見てみると、駅のほうは街灯がついているが、教会周辺の見晴台の家々は真っ暗で、卒塔団地の方面も真っ暗。子どもたちが騒ぎながら部屋から出てきて、おもしろがっている。こんなとき登場するのは、「なんでそんなもの買ったの?」と日ごろは家族から邪険にされていた石油ランプである。
ランプの灯りは暗いけれどあたたかい色をしていて、実際、灯油であるから小さなストーブのような暖かさがある。「なんだか、不思議。やさしい気持ちになった気分がする。いいね。」と娘が言う。すると次男が「じゃあ、パンチ!ってやったら?」と応じる。すると娘は「どうしたの。いいわよ・・。」だって。
暗い中、丸テーブルを囲んだので、次男が「こんなときには怪談を。」とリクエストするので、私は「♪ゲ〜、ゲ〜、ゲゲゲのゲ〜♪」と口ずさむ。すると、怖がりの妻が「やめてよ」というんで、中止になってしまった。仕方ないので、タコハチをして遊んだ。三通りくらいやってもなお停電は続いている。
「こんな長い停電はひさしぶりねえ。」
ランプのともし火を見ているうちに、あの歌が口をついた。
街の灯り
そばに誰かいないと 沈みそうなこの胸
まるで潮が引いた後の 暗い海のように
・・・・
街のあかりちらちら あれは何をささやく
愛がひとつ芽生えそうな 胸がはずむ時よ
http://www.youtube.com/watch?v=Oaj-USU7B9o&feature=related
「そう言えば、むかし、おふくろが若い頃、勉強していてランプの火が頭について父親にすごく叱られたと言っていたなあ。」とか、話しているうちに、チカチカチカッといって部屋の電気がついた。
「なんだ。つまらない。現実に引き戻された気分。」と娘。
「さあ勉強」と息子。
たまにはこんなことも面白い。
*タコハチhttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hanamizuki/5064/file/game/tako8.htm