苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

吉報  

 http://www.asahi.com/articles/ASGDB4W6BGDBUTIL01X.html
 吉報である。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らによるヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)を人種差別と認め、在特会側に計約1226万円の賠償と街宣活動の差し止めを命じた今年7月の大阪高裁判決に対し、在特会が上告していたが最高裁がこれを退け、高裁判決が確定した。

あなたは在留異国人をしいたげてはならない。あなたがたは、かつてエジプトの国で在留異国人であったので、在留異国人の心をあなたがた自身がよく知っているからである。
           (出エジプト23:9)

 十戒に続く律法のなかの一文である。主がモーセをもちいてイスラエルの民をカナンの地へ連れ戻すために、エジプトから導き出されたとき、一行の中には、まことの神を信じてイスラエルの民についてくるエジプト人その他の民族がいたのだろう。またカナンの地に定着したのちも、そういう在留異国人がいた。たとえば、ヨシュアの遣わした斥候をかくまったラハブ、あるいはモアブ人ルツ。ダビデの忠臣ウリヤはヘテ人ウリヤと呼ばれている。
 神は、社会的弱者であるみなしご、やもめと並んで在留異国人に特に哀れみをかけよと繰り返し命じていらっしゃる。異国人であるというだけで、さまざまな社会的不利益を受けることが多いからである。神は正義の神。桃太郎侍のような性格のお方であるから、弱い者いじめという卑劣な行為を非常に憎まれる。

申命記 10:18 「みなしごや、やもめのためにさばきを行ない、在留異国人を愛してこれに食物と着物を与えられる。」

申命記 14:29 「あなたのうちにあって相続地の割り当てのないレビ人や、あなたの町囲みのうちにいる在留異国人や、みなしごや、やもめは来て、食べ、満ち足りるであろう。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。」

申命記 24:17 「在留異国人や、みなしごの権利を侵してはならない。やもめの着物を質に取ってはならない。」

申命記 24:19「 あなたが畑で穀物の刈り入れをして、束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。」

申命記 27:19 「在留異国人、みなしご、やもめの権利を侵す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。”

 
 みなしご、やもめ、在留異国人という弱い立場の人々に対しては特段の配慮をせよというのは、神の命令である。愚かな人々が「逆差別だ」「在留特権だ」とさわぐとしても。
 しかし、古代イスラエルは神の命令に背いて、みなしご、やもめ、在留異国人を虐げ、その裁きをもとりあげることをしなくなった。

エレミヤ書 22:3「主はこう仰せられる。公義と正義を行ない、かすめられている者を、しいたげる者の手から救い出せ。在留異国人、みなしご、やもめを苦しめたり、いじめたりしてはならない。また罪のない者の血をこの所に流してはならない。」

エゼキエル書 22:7 「おまえの中では、父や母は軽んじられ、おまえのところにいる在留異国人は虐待され、おまえの中にいるみなしごや、やもめはしいたげられている。」

マラキ書 3:5 「わたしは、さばきのため、あなたがたのところに近づく。わたしは、ためらうことなく証人となり、呪術者、姦淫を行なう者、偽って誓う者、不正な賃金で雇い人をしいたげ、やもめやみなしごを苦しめる者、在留異国人を押しのけて、わたしを恐れない者たちに、向かう。・・万軍の主は仰せられる。」

 その結果、イスラエルの国は神の怒りをこうむって滅ぼされてしまった。イスラエル滅亡の理由は、偶像崇拝だけではなく、社会的弱者を虐げたことにある。

「7:5 もし、ほんとうに、あなたがたが行いとわざとを改め、あなたがたの間で公義を行い、7:6 在留異国人、みなしご、やもめをしいたげず、罪のない者の血をこの所で流さず、ほかの神々に従って自分の身にわざわいを招くようなことをしなければ、7:7 わたしはこの所、わたしがあなたがたの先祖に与えたこの地に、とこしえからとこしえまで、あなたがたを住ませよう。」エレミヤ7:5−7

 今回の在特会有罪判決は、在日の人々にとって吉報であることは無論だが、日本人にとっても吉報である。なぜか。神は在留異国人を虐げ、彼らの正当な訴えを取り上げないような国を滅ぼしてしまわれ、こうした人々を守る国を祝福なさるからである。