苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

日本国憲法を私たち自身の憲法として獲得するチャンス

 一夜明けて、参議院選挙の結果が出た。原発問題・TPP・憲法といった重大なことが争点として表に出ず、目先の景気のみが投票者の多くの関心事だったのかなあという結果である。東京都の山本太郎さん当選はよかった。がんばってほしい。
 不満足なことも多いけれども、96条の改変という、良識ある改憲派もあきれる暴挙に出ようとしていた自民・みんな・維新が、参議院議席の3分の2を取ることができなかったので、最悪の事態に陥らずにすんでよかったなという感想である。

参議院の総議席数242。よって、その3分の2は162議席
96条改憲を唱えていた自民115、みんな18、維新9で合計142議席
したがって、3分の2には届かない。


 とはいえ改憲についての議論が今後ますます出てくるだろう。私は、これは神様が、戦後「棚から牡丹餅」で手に入れた日本国憲法がどういうものであるのかということを、私たち日本人が学びなおす機会を与えてくださったのかなとも思う。少なくとも、筆者自身にとってはそうである。この半年間で、憲法学の教科書、日本国憲法制定過程の本数冊、ロックやフランス人権宣言や世界各国の憲法集などに目を通した。
 <憲法によって権力の暴走を防止して人権を護り、民意を政治に反映させる>という立憲主義の仕組みは、欧米では多くの血が流された苦闘の後に獲得されたものだった。憲法がほんものの憲法である条件は、フランス人権宣言16条によると、「人権の保障と権力の分立によって、権力が制限されていること」なのである。憲法の目的・役割とは、国家権力の横暴から国民の権利を守ることなのである。
 わが国の場合、大日本帝国憲法がこの条件にかなわない欠陥憲法だったことが、先の軍国主義時代を来たらせてしまったことの一因だった。自民改憲草案(2012年4月27日版)もまた、同じように欠陥改憲草案である。私たち日本人は、この機会に日本国憲法を真の意味で、私たち国民の憲法として獲得しなおす努力をする必要があると思う。


参照 「憲法憲法であるための96条」

    http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20130506/p1


   「憲法改正に特別多数は世界の常識」

    http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20130314/p2