「この本、おもしろいですよ。特に、栄養学というものが、もともと日本とは著しく自然環境の異なるドイツに生まれた学問であるので、そのまま日本に適用したのがまちがいのもとだという指摘が興味深い。」と言われて貸していただいた。
現代日本では、子どもの成人病という矛盾に満ちたことばが流行している。小学生が、糖尿病、脂肪肝、高脂血症、高血圧症、動脈硬化症にかかっているのである。40パーセントは成人病予備軍だという。その原因は、砂糖と脂肪の取りすぎにあるという。著者は、砂糖と脂肪を取りすぎてしまうのは、パン食をするからだという。パン自体にも砂糖と油脂が相当はいっている上、パンにあうおかずといえば、油炒めのソーセージ、油で炒めた卵、ドレッシングのかかったサラダ、調味料はソース、ケチャップ、マヨネーズの類いにどうしてもなる。これらにはいずれも砂糖と油脂が多く含まれている。
栄養学はもともと日照時間少なく、痩せ地で、米ができないから、乳製品・肉類でエネルギーをとる必要のあるドイツにおいて誕生した。寒い地域で高カロリー食にせざるをえなかった。その栄養学を日照時間多く、地味がよく、滋養豊富な米という穀物ができる日本という地域に、そのまま適用したことに誤りがあると指摘する。
では、日本に住む私たちはどうすればよいか。ご飯を主食とする。そして、おかずは毎日味噌汁、漬物、納豆、佃煮、野菜の煮付けの類いで十分である。ご飯であれば、おかずとして野菜も季節ごとに旬のものを食べられる。ごはんは五分つきであれば、たんぱく質その他の栄養分も多い。
そして、最後の指摘は、砂糖がどっさり入ったコーラなど清涼飲料水と、油であげたポテトチップスである。これは子どもになんとしてもやめさせるべし。
こういう趣旨の本であった。大人だって同じことだろう。