苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

クローン技術は人間の分を越えているのではないか

 HBI(北海道聖書学院)のゲストルームでNHKを見たんですが、そこでクローン技術の急成長についての特集番組をしていました。かつてドリーという羊のクローンが話題になりましたが、今では、600万円で犬や猫のペットのクローンを作るという商売がされているそうです。食肉家畜としての豚や牛のクローンも実用化されているとのこと。そして、少し前には霊長類のクローン作製に中国が成功したそうです。人のクローンということが、もう現実的に視野に入ってきているわけです。その目的は、病気になったときに本人に適合しやすい臓器を用意するためだというのです。恐ろしい。

 クローンの豚や牛の肉はすでに流通しているそうです。表示義務なしで。より高く売れる優秀な肉を大量に生産するため、というのです。こういう技術は金銭欲がからむと、どこまでも暴走しますね。
 中国政府は霊長類クローン研究に10倍の予算をつぎ込んだとか。明らかに人クローンを目指しているのです。いったいなにをしようというのでしょう?クローン技術をもつ孫悟空を生んだ国ですからねえ。医療だけでなく、均質で優秀な労働者、戦闘員が生産できたら、軍事、オリンピック金メダル独占・・・かつて、共産圏諸国がオリンピックで覇を唱えたように、人権意識がもともと低い権力者が指導する全体主義国家体制下では、そういうことが容易にできてしまうでしょう。
 かりにクローンとして製造された人が出現したばあい、その人権がどうなるかという難題があります。本体の人間が病気になったときに臓器を提供するために製造されたクローン人間について描いたのがカズオ・イシグロさんの作品でした。 番組の最後に、そういう問題が生じないためには、脳のないクローン人間を作ればいいのだという、一人の科学者の発言が引用されました。
 創世記第六章の大洪水前夜の社会の描写を彷彿としました。