苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

4号機問題核燃料プールに関する悲観説と楽観説

 福島第一原発4号機の使用済み核燃料プール問題について、情報が錯綜しているので、ここで整理しておきたい。

1.4号機プールには1300本の使用済み核燃料(未使用を多数含む)が保管され、冷却され続けている。

2.4号機は昨年3月、いったん電源を失って冷却不能に陥り、水が蒸発して使用済み核燃料が空気中に露出してしまいそうになったが、原因不明の爆発によって、たまたま隣のプールにためられていた莫大な水が流れ込むことによって、事なきを得た。その後、冷却システムも回復された。http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/searchdiary?word=%BC%E7%A4%CE%A4%A2%A4%EF%A4%EC%A4%DF

3.しかし、爆発によって4号機建屋が傾き、余震による倒壊の危険が指摘されたので、東電は6月に多数の鋼鉄のつっぱり棒をもって、緊急の補強工事をして現在にいたっている。だが、あの補強工事では大きな余震が来たばあい、使用済み核燃料プールにひびが入ったり、崩壊したりすることを確実に防げるかどうかは不明である。

4.東電も4号機の危険性は認識しているので、使用済み核燃料を早く取り出したいと考え、これを取り出すプランを立てているが、それによれば、取り出しの実行のスタートが可能になるのは、2013年12月である。それゆえ、その前に大きな余震が来て、4号機使用済み核燃料プールが損傷あるいは崩壊して、原子炉に入れる二回分という1300本の大量の使用済み核燃料が空気中に露出する危険がある。

5.この大量の使用済み核燃料が空気中に露出したばあい、どのような現象が起こるかをめぐって、小出裕章氏がテレビで「おしまいです」と表現されたので、その「おしまい」が何を意味するかをめぐって騒ぎになっている。

6.4号機使用済み核燃料プールの損傷水漏れあるいは崩壊の危険性について、昨年6月頃からもっとも厳しい評価をしているのは、米国のアーニー・ガンダーセンである。彼は、次のように述べている。
「ガンダーセン:まさに「格納されていない炉心」です。今は水で冷​やしていますが、プールにヒビが入るなどして水位が下がり、冷却​できなくなると、温度が上がって燃料棒の鞘であるジルコニウム合​金が発火するのです。こうなると、もはや水では消火できない。核​燃料が大気中で燃えるという、人類のだれも経験したことはない、​おそろしい状況になるのです。(中略)科学にとって未知の大惨事になります。」(週刊朝日 2012年3月16日号)ガンダーセンは昨年6月頃から、もし4号機が崩壊したら日本政府が何を言おうと、成田から飛びたてと発言していた。

7.先週、武田邦彦氏にこの件についてメールで質問をしたら、その回答と思われることをブログに掲載してくださった。武田邦彦氏は、たとえ4号機使用済み核燃料プール地震で崩壊しても「爆発」はない。爆発はないので、たとえ核燃料が空気中に露出しても放射能は遠くへは飛ばないので被害は広がらない。また使用済み核燃料は十分冷えているので、崩壊して落下したら、水をかければよい、としています。今心配すべきは、むしろ、すでに散らばっている放射能によって被曝している人々のことであるという意見である。http://takedanet.com/2012/03/post_06a0.html

福島4号機の問題・・・合意できる科学的発信を

このブログでは福島原発の爆発直後から、「再爆発はほとんどない。もし危険が生じても逃げる時間がある」ということを繰り返し書いてきました。しかし、2011年の4月から専門家あるいはブログで「福島原発の再爆発」が取り上げられています.

なぜ、私が「再爆発の危険性が低く、もし危険が生じても逃げる時間があるか」と判断しているかということを繰り返して書きました。また、私はすでに大半の放射性物質が福島を中心として降り注いだのに、まだ福島原発のことを言うのは、多くの人の被曝から目をそらす負の効果を持つだけと思っています.

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【理由】 第一に、原子炉は核反応が止まると急激に力を失い、1日で10分の1という具合に小さくなり、途中で小さくなりかたは弱まりますが、1年経つと運転中の400分の1以下になっていることです。

第二に、原子炉建屋の中に放射性物質が大量に放出されても、その運搬手段がなければ遠くには飛びません。それは「核爆発、水素爆発、水蒸気爆発」などの爆発力が必要です.現在の福島原発は4号機も含めて爆発の可能性がきわめて低くなっています.火災ぐらいの力では付近は影響を受けますが、10キロ以上のところに直ちに降り注ぐことはありません.

第三に、4号機には燃料となるウランがありますが、ウラン235が4%程度の原子炉用燃料は水が減速材として存在し、特別な立体配置にならないと核爆発を継続することはできません。従って「未使用の核燃料」があっても危険ではありません.

第四に、4号機のプールが大きく崩壊し、核燃料と水が原子炉の下に落下した場合、原子炉の下に水を注ぐことができますので、最低限の冷却ができます。また一部に穴があいて、水漏れが始まって徐々に乾燥した場合、燃料が加熱して融けたり破壊するまでにかなりの時間がかかると想われます.それは、2011年3月と比べると「発熱量」(放射性物質の崩壊速度)が400分の1以下になっています(少なくとも50分の1以下)。だから3月には燃料がとけるのに1日かかったとすると、今は50日とか400日かかるということを意味しています.しかも、3月に燃料棒が融けたのは原子炉内で直接水をかけられなかったのですが、現在は4号機のプールに水をかけることができます。

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福島原発が再爆発する、危険が迫っているということが言われる度に・・・すでに事故から20回ぐらいは言われていると思いますが・・・その度に、危険を警告している人の発言内容や技術内容を見ていますが、私が技術者としてなっとくできる説明はありません.

「4号機があぶない」・・・「日本はダメだ」というように説明なしにのものがほとんどでした。私たち技術者は「専門家同士は冷静に考えれば判る」ということを「科学」とか「学問」というのであり、またそれは「思想」などとは無関係です.

私と全く違う思想の人がご発言になっても、その内容が学問として納得できるものなら、同意します.それは科学者や技術者の基礎的な素養だからです.

福島原発より、セシウム再飛散の方がずっと危険ですし、原発再開の方が何10倍も危険です.また、人間のやっているものはいつも危険だという意識も必要で、「ゼロ(安全)か100(危険)か」ということもありません.


科学者によって、ずいぶん判断は分かれるものだなと思います。筆者自身は、いくぶん希望的観測ではありますが、武田氏の見解が客観的で妥当に思えます。ただ崩壊したものに水をかけるという危険な作業にあたるのは、またも消防士の方たちなので、そういう事態にいたらぬようにと願います。そのために、プール崩壊をも計算に入れて巨大なプールををあらかじめ下に造っておくといった対処をしておいてほしいと思います。そうでなければ、前にも書きましたが、たとえ水をかけても決して効果的に冷やすことはできないでしょう。
そこで枝野さんと細野さんに、下記のメールでその要請をしておきました。え、野田首相にはなぜメールしないのか?野田さんは、経団連のスポークスマンにすぎないので、聞く耳があるように筆者には思えないのです。

大きな余震で、福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールがひび割れ、崩壊すれば、使用済み核燃料1500本が空気中に露出して、大惨事になると専門家が指摘しています。(小出裕章、アニー・ガンダーセン)

武田邦彦氏は、爆発はほぼ起こりえないので、プール崩壊による放射能の飛散については心配ないとしています。しかし、プールが崩壊したばあい、落下した核燃料を冷やす必要があるとしています。またプールにひびがはいった場合、上から水をかけて冷やす必要がある、と。

使用済み核燃料を取り出す作業は2013年12月ですが、その前に余震で4号機プールが崩壊する可能性は否定できません。そこで、プールが崩壊しても、それを下で受け止めるための巨大なプールというか池を作ることを提案します。