苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

勇士でなく、権力者でしょう

 クシュ は ニムロデ を 生ん だ。 ニムロデ は 地上 で 最初 の 勇士 と なっ た。 彼 は 主 の 前 に 力 ある 狩人 で あっ た。 それ ゆえ、「 主 の 前 に 力 ある 狩人 ニムロデ の よう に」 と 言わ れる よう に なっ た。 彼 の 王国 の 始まり は、 バベル、  ウルク、 アッ カド、 カルネ で、 シン アル の 地 に あっ た。 その 地 から 彼 は アッシュル に 進出 し、 ニネベ、 レホボテ・イル、 カルフ、 

 ニムロデは地上で最初の「勇士」と変更された。第三版までは「権力者」と訳されていたのだが。翻訳者は9節の「狩人」との関係に引っ張られて、「勇士」と改めたであろう。原語はギッボールであり、確かにmighty manだが、これは誤訳ではないが、権力者のほうが適切だったのではないか。理由は三つある。

 第一に、猛獣をやっつける勇士であれば、ニムロデ以前にもいたであろうから。

 第二に、10節から12節へのニムロデ王の覇権主義的行動をみるならば、これは単なる勇士についての記述ではなく、明らかに「権力者」としての振る舞いである。10節には「彼の王国」とあるではないか。

 第三に、次の11章には、ニムロデ本人か彼の後継者かがバベルの塔を築こうとして、神にさばかれたことを見れば、ここは権力の問題性を扱っている個所である。したがって、ここは「勇士」ではなく「権力者」と訳すべきであることはあきらかだろう。

 それにしても、最初の権力者ニムロデについての記述のうちに、ほとんど余すところなく、その本性が表されているところを見ると、つくづく聖書という書物はすごい。

 

 

 

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