苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

水の話


文科省によるセシウム134,137の沈着量http://savechild.net/archives/10274.html

 21世紀、水紛争が世界中で多発すると言われる。年間2800万トンの穀物を輸入している日本は陰の水大量輸入国である。穀物を1トンつくるには、水を1000トン使用するからである。この水とは真水の事である。地球上にある水のうち、真水は全体のわずか0.5パーセント。雨水として一年間に120兆トンの降水があり、蒸発分を除くと、45兆トンが利用可能な総水量。この水をいったん汚してしまうと地球上の陸上のすべての生物は死滅する。水源地を守ることがいかに重要か。
 中国では土地は国有なので、中国の金持ちは日本の金持ちのように土地を資産として求めることができないので、彼らは日本列島の水源地を買い占めているという。日本は世界でもまれな水のきれいな国土である(いや、3月10日までそうであった)。それは森林が豊かだからである。平地が少ないために森林伐採をして利用できる土地が作れないので、伐採が進まなかったのである。古代メソポタミア、古代中国、そして中世ヨーロッパはかつては豊かな森林であったそうだが、平地の森林だったので伐採されてしまった。メソポタミアでは放牧地と農地を作るために森林伐採をして砂漠化し、中国では万里の長城を築くレンガを作るために森林が伐採され、ヨーロッパでは特に大航海時代の建艦競争の時代に森林が伐採されたという。特にスペインはアマルダ(無敵艦隊)を作り上げるために、緑豊かな国土を赤茶けた砂漠としてしまった。現代、熱帯雨林の急激な減少は、材木のための伐採と焼き畑農業が理由である。その材木は日本などに輸出されている。環境破壊の真の原因は、宗教の違いや洋の東西、時代を問わず、経済と戦争であった。
 それはそうとして、今回の福島第一原発破綻によって、私たちはこの日本列島の水源地を汚してしまった。次々に公表される列島汚染地図を見ると、福島、栃木、群馬、新潟、長野、埼玉の秩父の山間部の水源地が放射能で汚染されてしまっていることに気づく。これら山間部の森の土壌に水が蓄えられて豊かなミネラルとともセシウムをはじめとする放射能核種が地下水の中に溶け込んでしまうこととなった。今後「○○岳の水」というミネラルウォーターは、商品として成り立つのだろうか。近畿大学教授・山崎秀夫氏によれば「また、たとえば高濃度汚染地域の飯舘村は、相馬市や南相馬市を潤す川の水源となっています。ですから、放射性物質の被害がいまのところ比較的少ないそれら海沿いの地域も、梅雨や台風による土砂流出に伴って放射性物質が流れつき、田畑が徐々に汚染されてゆく危険性もある」という。このように汚染範囲は徐々に拡大していく可能性がある。
 目先の便利をむさぼるために、豊かな森と美しい水を私たちに与えてくださった神に対して、私たちはほんとうに申し訳ないことをしてしまった。

「しかし地から泉がわきあがって土の全面を潤していた。」(創世記2:6)

「第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。」(黙示録8:10,11)


 近くの里山も色づき始めました。