苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

保坂正康『崩御と即位』

 お正月に古本屋でふと見つけた保坂正康『崩御と即位ー天皇の家族史』という本は読み応えのあるものでした。孝明、明治、大正、昭和そして平成の天皇崩御と即位の時期にフォーカスを絞って、ていねいに史料を読み解きながら「時代が天皇をつくり、結果的に天皇には時代が凝縮されている」ということを明らかにしていく。
 そうして、近代日本の天皇は、下のような構図で、それぞれ先帝を否定していくことになったというのです。

孝明天皇・・・開国批判、攘夷
明治天皇・・・開国、天皇制下の軍事主導体制
大正天皇・・・文化主導、天皇制下の反軍事主導体制
昭和天皇・・・現御神:天皇制下の軍事主導体制
       象徴天皇天皇制下の民主主義体
今上天皇・・・民主主義下の天皇(制)

それから、影が薄くてほとんど知らなかった文人大正天皇についての記述は興味深いことでした。