秋空は藍と茜の溶け合ひてすでに昇れる淡き夕月
リフトにて吊り下げられて柚子浮かぶ湯槽に浸る冬至の午後を
今井百合子
かつて苫小牧福音教会に集われ、その後、札幌の教会に転じられ、今は札幌のケアハウスに住まわれる姉妹が詠まれた歌です。交流のある教会のI姉に来た手紙のなかに投稿された短歌のコピーがあり、そのうち、特にこの二首に感銘を受けたので、ここに紹介させていただきました。後者は二月の投稿で季節を外れていますが、湯気の向こうに浮かぶ柚子の色とかおりが、介護を受けるわが身のせつなさとあいまって、なんともしみじみさせられる歌です。