苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

バージニア州権利章典「言論出版の自由」

 NHK会長は「政府が右というものを左というわけには行かない」といい、この三月一杯で、菅官房長官のご機嫌をそこねたクローズアップ現代のキャスターを下ろすという(別の口実を設けてだが)。民放でも安倍政権の暴走に警鐘を鳴らしてきたテレビ朝日ニュースステーションの古館アナウンサー、TBSのNEWS23岸井成格氏も降板することになる。これでテレビニュースは、政府与党の宣伝機関となり、国民の目と耳と口はふさがれてしまう。
 高市早苗総務大臣は2016年2月8〜9日にかけて、「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性がある」という内容の答弁をした。背景には自民党憲法改正草案がある。

憲法21条
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

これに対して、自民党憲法改正草案21条はなんというか?

自民党憲法改正草案21条
1集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、ならびにそれを目的とした結社をすることは、認められない。

 問題は「公益及び公の秩序を害する」と誰が判断するのか、である。高市氏の答弁によれば、時の政府与党の総務大臣が判断するというのである。政府与党の益が公益であり、政府与党の体制が公の秩序である。 
 1776年に定められたバージニア州権利章典は、次のように言う。

第12条 言論出版の自由は自由の最大の防波堤であり、専制的な政府による場合以外では制限することはできない。

 本章典は、同年のアメリカ独立宣言、1789年フランスの人権宣言にも模範となったものである。言論出版の自由は、専制的な政府に対する最大の防波堤であり近代国家に必須の要件である。