首相は憲法改正をめざすと鼻息が荒い。しかも、緊急事態法から手をつけようと言う話である。その内容は9条よりも恐ろしい、独裁体制確立のための法である。独裁とは、行政権と立法権が一つになること。今年5月31日の記事を再掲載する。
自民党の改憲草案のなかに、ナチスの全権委任法によく似た、98条「緊急事態宣言」がある。緊急事態宣言が発令されると、国会は停止されて、内閣の決定が法律機能を果たすという。たとえば巨大地震が首都を襲ったとき、あるいは他国からミサイルが発射された気配のとき、緊急の立法措置が必要であるが、国会議員を招集できないという事態が予想される。そういう場合を想定しての法案である。
たしかに、そういう場合がありうることは認めざるを得ない。しかし、これを用いれば一党独裁体制がかんたんに作ることができるということに注意すべきである。事実、歴史を鑑みれば、ヒトラーは自分で国会に放火して、それを共産党員のせいだとして彼らを取り締まり、国家転覆寸前の緊急事態を演出して、全権委任法を通した。その後の、ドイツの大暴走と破滅は周知のとおり。
かりに、この法を立てるとしても、よほど強力な歯止めをかけておく必要がある。その歯止めだけは、緊急事態宣言下でもはずすことはできないことにしておくべきだ。
こちら参照 http://article9.jp/wordpress/?p=531
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。