苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ローズンゲン9月14日

詩篇16:10
口語訳
あなたはわたしを陰府に捨ておかれず、
あなたの聖者に墓を見させられないからである。


新改訳
まことに、あなたは、私のたましいをよみに捨ておかず、
あなたの聖徒に墓の穴をお見せにはなりません。


新共同訳
あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく
あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず・・・
詩編16章10節

 翻訳上独特なのは、新共同訳の「あなたの慈しみに生きる者」である。ヘブル語ではハシドカ。「カ」は「あなたの」。ハシドとは、ヘセド「慈しみ」「誠実」と同じ語根。それで従来、聖者、聖徒と訳されてきたものを、「あなたの慈しみに生きる者」と訳したのだろう。新約聖書の書簡にしばしば見られる「(神に)愛されている人たち」ということばにあたろうか。
 この詩篇16編10節は、初代教会においてイエス・キリストの復活について説教がされたとき引用された一節である。この後に、「 16:11 あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります。」と続くことを思うと、キリストがあの十字架の苦難の向こうに、大いなる希望を抱いて、前に進んで行かれたのだと思った。