安倍政権は、「原発を停止しているから、火力発電用の石油輸入で貿易赤字が増えた。原発を再稼動すべきだ。」というのですが、これまた嘘のようです。
というのは、石油・天然ガスの輸入量は、省エネ努力によって、原発事故前から2億5千万リットルのままであるからです。それにも拘らず貿易赤字が11兆円増えたおもな原因は、アベノミクスの円安政策のせいです。他の要因といえば原油の国際価格上昇のせいでしょう。
第一次安倍政権のときに対策を怠って自ら招いた福島第一原発事故については民主党に責任転嫁し、自らが引き起こした従軍慰安婦問題に関する世界からの非難については朝日新聞に責任転嫁し(昨日の記事参照)、そして、自らの円安政策で招いた莫大な貿易赤字については原発停止状態であることに責任転嫁している。
責任転嫁の結果は、自分でも真の原因が見えなくなって、さらに過ちを重ねることです。原発再稼動、従軍慰安婦問題における国際的恥の上塗りがそれです。そして、アベノミクスの行方はどうなるか・・・。
<参考>貿易赤字の増加のほんとの原因について、下のような記事(抜粋)を教えていただきましたので、上のメモを書いてみました。
藻谷浩介氏(日本総合研究所調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問、地域エコノミスト)
「原発が止まったから、火力発電所用の石油輸入量が増えて貿易赤字国になった」「国富を流出させないためには再稼働が必要だ」という話を、多くの人が信じ込んでいる。とんでもない話で、真犯人は政権が自分で誘導している「円安」です。
確かに日本の輸入は野田政権の時に66兆円、そして安倍政権の時に77兆円と、1年間で11兆円も増えました。石油・ガス・石炭はそのうちの3兆3000億円、つまり3割で、7割は食品や雑貨やスマホなど、燃料以外の商品の輸入額が円安で膨れ上がってしまったものです。
燃料代3兆3000億円の増加も円安が原因で、原発停止が理由ではありません。原発は野田政権当時から全部止まっていたのですから。日本の石油や天然ガスの輸入量は国民や企業の省エネ努力のおかげで、原発事故前の2010年も、安倍内閣の昨年も、2億5000万キロリットルと横ばいのままなのです。
経産省は原発を全部再稼働すれば、化石燃料の輸入額を1兆6000億円程度減らせるといいますが、昨年の貿易赤字は8兆5000億円ですから焼け石に水。
自分で円安にして日本を大赤字にしておいて「原発再稼動」というのは、相手を転ばせてケガさせておいて「さあ、クスリを買え」と言うような話です。
(9月27日付日刊ゲンダイより)