米国大使館に、「日本人は大統領のアーリントン墓地での戦没者追悼に抗議しないのに、なぜ日本の首相が靖国を参拝し戦没者を追悼することに文句をいうのか」というふうな趣旨の抗議のメールが三百通も届いているそうです。日本人のほとんどは、靖国神社の本質を教えられず、むしろ外国が知っているのです。
靖国神社は、戦没者の追悼施設ではなく、朝廷のために戦死した人たちを神々として祀りたたえることによって、国民が戦争に行き天皇のために死ぬことが素晴らしいことだと思うように洗脳するための国家神道の施設でした。今は一宗教法人ですが、ほかの神社とちがって、もともと陸海軍が経営していたことを見ても、それが戦意高揚のための特殊な神社であったことは明らかでしょう。英米で靖国神社のことをWarshrine(戦争神社)と呼ぶのは、実に的を射ているのです。
靖国神社の遊就館(博物館)の展示を見れば、それが大東亜戦争の正当化と戦意高揚を意図していることは一目瞭然です。
首相たちは、もちろん、それを知っているのでしょうが、今回のように「平和を祈念した」とかいってごまかすので、ニュースを聞く国民は無知のままに放置されてしまいます。靖国神社の本質は戦争神社なのです。それがわかれば、なぜ中国・韓国のみならず、米国・EU・ロシアまでも今回の首相の靖国参拝を非難するのか、理解することができるでしょう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131228/k10014186061000.html
安倍総理大臣の靖国神社参拝について、アメリカの有力紙のニューヨーク・タイムズは日本が戦後の平和主義から離脱しようとしているという論説記事を掲載し、日本と中国や韓国との関係が一層冷え込み、アメリカの対アジア政策にも悪影響を及ぼしかねないと懸念を示しています。
27日付けのニューヨーク・タイムズは、国際面のトップに「神社への参拝によって日本のリーダーは平和主義から離脱する姿勢を鮮明にした」という見出しの論説記事を掲載しました。
記事には安倍総理大臣が靖国神社参拝に先立ち、野党やメディアの反対にもかかわらず特定秘密保護法を成立させたほか、自衛隊の装備を拡充する防衛大綱をまとめるなどして、政治的なリスクを負いながら日本の戦後の平和主義からかじを切ろうとしているとしています。
また、外交的には今回の靖国神社参拝が日本と中国や韓国との関係を一層悪化させ、アメリカにとってももはや日本は、中国に対抗するうえで頼りになる存在ではなく、中国との緊張を高める「アジアの問題」になろうとしていると指摘し、アメリカの対アジア政策にも悪影響を及ぼしかねないと懸念を示しています。