東電はこの夏、電力は余裕がある見込みとなってきた。他方、もともと原発依存度が高い関西電力管内は、原発が1基故障して早期復旧のめどは立たず、さらに16日2基が定期点検に入ることになっている。その上、融通してもらうつもりの中国電力の一基が故障となった。関西がピンチなので、東電は西日本各社への電力融通も考慮しているとのこと。大工場の自家発電の余剰分の買取をすればよいのだが、電力会社の独占を守りたい関電はあくまでそれは避けたいようだ。ま、とにかく、こういう電力融通の工夫をすれば、美しい海や山やふるさとを破壊してやたらと発電所を造る必要はない。もっとも電力会社が新規に発電所を造りたがるのは、電力供給の必要のためではなく、電力会社の利益のためだから、こんなことを言っても無駄だろうけれど。電力会社は、総括原価方式ゆえに新規の高価な発電施設を持ち続けることで収入を高く維持している。
大阪府知事は関西電力の節電要請に対してNOと言って、事業所に節電は求めないと宣言している。いよいよとなれば府知事がエアコンを止めてくれといえば大阪の人々はみんなでエアコンを止めてくれると自信満々だが、はたしてうまくいくのか。電力需要ピークは平日午後。ということは、おもに事業所が電力需要のピークを作っているということである。したがって、大阪府知事が、工場には生産調整による節電を求めず、家庭とオフィスにエアコン節電を呼びかけて、この夏を乗り切ろうとしているのは的外れと思われる。
大停電という事態はどのようにしておこるのか? 朝日新聞・朝刊 2011-06-30 によれば、「1987年7月23日に、首都圏で大停電が起こった。突然の猛暑で、昼休み後に冷房需要が急上昇した。1分間に40万キロワットというスピードで消費電力が急増して、電圧が急落したことが原因だった。」とある。大規模の停電は、短時間に電力需要が急増した時に起こる。「昼休み後に冷房需要が急上昇した」というのは、会社でも工場でも、午前の仕事が終わって、「さあ節電だ」ということで正午にエアコンを停止して、室温がどんどん上昇し、昼休みが終わって午後1時にいっせいにエアコンにスイッチを入れて立ち上げたということだ。暑くなった室内を冷やすためにエアコンがフル回転して、1分間に40万キロワットで消費電力が急増したわけである。
だから大阪府知事が「みなさん。電力ピンチです。昼休みはエアコンを切ってください!」と要請したら、午後1時過ぎに大停電になる。では、どうすればよいか。「昼休みにエアコンをOFFにして節電しないでください」とPRすることである。いっせいにONにするのが一番よろしくない。スイッチONはバラバラにすることが大事。