苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

脱原発で安全な国づくり  改訂3月26日、再改訂3月29日

1.今の救援、ごく近い将来の原発震災防止のために

 今般の地震原発震災を受けて、同盟教団では現地救援の働きをしつつあり、今週救援チームの第三、第四が派遣されようとしており私も同行しますが、もう一つの緊急に取り組むべきことは、確実に近づいている次の大地震に備えて原子炉全廃を実現することです。格別、即時、廃炉にすべき原発は、東海大地震の想定震源域の中央に位置する浜岡原発と、最近、近くで震度6を記録した柏崎原発です。
 今回の宮城・三陸沖の地震は2005年1月1日から30年以内に起る確率99パーセントといわれていましたが、東海大地震は30年以内に起る確率89パーセントでしたから、6年たった今なら25年以内に来る確率は90パーセントを優に越えているはずです。東海地震到来は死と同じで、仮に1年や5年延期されたとしても来ることは100パーセント確実です。いや明日に来るかも知れないのです。というのは、過去の歴史から見ると東海地震の周期はおよそ100年から150年なのですが、すでに前回の安政地震から157年たっているからです。

浜岡原発の現実⇒http://hamaoka2009.ciao.jp/

 今回の福島原発の動向は、なお予断を許しません。(2011年3月25日に高濃度の放射能漏れが判明し、さらに危険水域に入りました。)神様のあわれみで最悪の事態にはいたらないようにと願って祈っています。もし神様のあわれみによって、鎮静化が進んだなら、どうしても浜岡原発を止めなければなりません。そうでないと、もう日本の未来はありません。
 新潟柏崎原発も、先の地震で今回のような事態にならなかったのは、偶然いや神のあわれみにすぎません。東海地震とセットで起る可能性の指摘される南海地震津波に呑みこまれるのは、強毒性プルサーマルの四国伊方原発です。伊方原発プルサーマルが破綻すれば九州・中四国・関西まで海と大地が汚されて、多くの命が失われます。浜岡原発も強毒性プルサーマルです。そして福島第一の三号機も昨年9月からプルサーマルになりました。
 プルトニウムの毒性というのは、百万分の一グラムで人を死に至らせるというほどのもので、言い換えれば、1グラムで100万人人が死ぬというものです。そういう猛毒が各地の原発の中におそらく何トンも貯蔵されているわけです。一つの原発だけでも炉心のメルトダウンの結果、炉に穴が開いてプルトニウムが外に出てしまったたならば、死者の数は天文学的数字になるでしょう。(追記2011年3月26日、どうやら1号機3号機はメルトダウンしているようで、高濃度の放射性物質が漏れていることが判明し電源復旧作業は非常に困難になりました。残されている手は、チェルノブイリのようにセメントで固めるだけなのでしょうか。そのためには1年間冷却が必要だそうです。)
 そこで、私は国民全体で、「原子炉全廃救国プロジェクト」をしなければならないと思っています。ただどんなふうにしたら、そういう機運が盛り上がるのか、筆者にはわかりません。とりあえず、ここに書いていることを1000万人の人が読んでくださればなあ、と思います。テレビも新聞も大口スポンサーが電力会社ですから、なかなか難しいことですが。



2.電力需要は低下している。LED化で脱原発は実現できる。

原発全廃というと必ず返ってくるのは、「じゃあ原発なしでは電力が足りないだろう。代替エネルギーはあるのか?」という聞き飽きた陳腐な反論です。

a.第一に人口減少にともない日本の電力需要は減少している。電力需要の減少が見越されるからこそ、電力会社は「オール電化」「電気自動車」キャンペーンをしているのです。「電力が不足する」と騒いでいるのはどういうわけでしょう。日本経済新聞2月25日の記事です。

「中部電が長期ビジョン、電力需要低下に危機感 – 日本経済新聞

中部電力は)オール電化の推進や電気自動車の普及などに取り組む考えだ。・・・ ...」
参照>http://www.eco-news.in/%E4%BD%8F%E5%AE%85/13869.html
 実際、オール電化によって、原発二基分の電力需要が増えていると報道されている(読売2011年3月23日)。読売はそれが今回の電力不足に拍車をかけていて裏目に出たといっているが、実際は電力会社の計画通りなのである。後で書くように、「電気事業法」という異様な法律のせいで、電力会社としては高価な原発という施設をどんどん新設したいのであるから。


b.第二に、省エネ技術による電力需要削減のほうが、代替エネルギー開発より現実的である
 2010年現在原子力が総電力消費量に占める割合は、23パーセントとされています。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/shuyoukoku/sw_index_03/index.html
 全国のあらゆる電灯をLED化するならば、それだけでも、相当量の電力量削減ができるでしょう。LEDランプはおよそ白熱灯の14パーセント、蛍光灯の75パーセントの電力でOKです。実際、何パーセント削減できるかについては、その道の山村氏の調べによると、道路の街灯・オフィス・工場・店舗・家庭の電灯をすべてLED化すれば、総消費電力量の20〜25パーセントの節電ができるとのことです。つまり、LED化すれば原発は日本にひとつだって要らないのです。すでにオーストラリアでは、法令で白熱灯は全廃されています。このような考えを実行しているのは韓国のソウル市です。ソウル市はまず2015年までに30%LED化するという計画を実行中です。
 LEDにかぎらず、現代の省エネ技術はたいしたもので、冷蔵庫・エアコン・エスカレーターなどなど従来の半分とか数分の一でOKというものもあります。省エネ技術を総動員すれば、現在原発がになっている分は節約できます。


c.第三に、代替エネルギーの開発原発に割かれている莫大な予算を代替エネルギー研究に注ぎ込めば、よいのです。

d.そして、第四に、とりあえずは火力発電でバックアップすればよい。
 地球温暖化という課題は当然ありますが、原発ほど不潔で危険なエネルギーはないのですから、とにかく原発は全面停止にして、原発を止めて不足した分は、火力発電でしのげばよいのです。世界だって、地震国日本がまた原発を破綻させて、世界中に迷惑をかけるより、火力発電所からしばらく二酸化炭素を出すのをがまんしてくれるでしょう。
 それほど火力発電所がたくさんあまっているのかといえば、あまっているのです。原発はもともと不安定な装置なので、電力の安定供給のために、電力会社は原発を造ると同時に、バックアップ用の火力発電所を併設しているからです。数年前、全国の原発総点検を夏場にしたことがありましたが、停電になったところはどこにもなかったことからも、稼動していない火力発電所が十分にあることはあきらかです。東電がそれを嫌うのはコストがかかるからという理由、この一点です。
 当面、全原発を停止して、バックアップの火力発電を稼動させつつ、全国の電灯のすべてをすみやかにLED化して省エネし、省エネされた分を順次火力発電を停止していけばよいのです。原発がほんとうに冷えるには何年もかかるのですが、安全にコンクリート詰めにするのにはまず1年ほど冷却する必要があります。その間、地震対策を怠らないことです。

3.電力会社が原発建設を止めない理由=電気事業法

   ブログ「小海キリスト教会牧師所感」(2009-06-23)再録

 原発は一基4000億円もする。そんなに高価な設備がなければ電力会社は維持できないのなら、さぞ経営がたいへんだと思うだろう。ところが、そうではない。電力会社は新しく原発を建設するほど儲かるのである。それは、電気事業法という法律のせいである。電気事業法によれば・・・

 <電力料金収入=原価+報酬>となっている。

 ただし、原価とは、発電所・送電設備建設費・保守管理費・燃料費・運転費用・営業費用の合計。そして、<報酬=原価×報酬率>となっている。報酬率は、現在は4.4パーセントである。電力事業法は、電力の安定供給のために、電力会社は絶対に損をしないように守っているのである。

 では、電力会社はどのようにしたら報酬を増やせるだろうか。<報酬=原価×報酬率>なのだから、かんたんな話だ。原価を高く維持することである。そこで、減価償却が進んでしまった古い発電所は,まだ使えても休止させて、1基4000億円の原発をどんどん造ることである。こういうわけで、原発建設は決してやまない。

 電気事業法を廃止すれば、電力会社は原発のような高価なものでなく、低いコストで電力を作る代替エネルギーの開発に、本気で取り組むようになるだろう。(後略)

結論 原発全廃に必要な措置
1.電気事業法を改正し、原発新設をする動機をなくすことで、利権に群がるシロアリたちを排除する。
2.原発を即時停止して冷却にはいる。コンクリート詰めにするためには1年間は冷却が必要とのこと。その前に地震が来る可能性が非常に高い所(浜岡・柏崎刈羽・伊方・北陸)から、冷却しつつ、その耐震・対津波対策を強化・徹底する。その間、極力節電しつつ火力発電所でバックアップする。
3.全国の照明という照明を可及的速やかにLED化する。白熱電球はすみやかに禁止し、蛍光灯にし、順次LED化する。LED化によって節電できた分、火力発電を順次停止する。原発のある自治体にLED工場を誘致させて、原発に依存せずに生きてゆけるようにする。
4.代替エネルギー開発に、これまで原発にかけてきた莫大な資金を投入する。
5.電力会社に「オール電化」「電気自動車」キャンペーンを止めさせる。


 こうした事実を国民はほとんど知らない。なぜか。ニュース番組、新聞のスポンサーが電力会社だからである。私たちは目を覚まして、事実を知って原発全廃をしなければならない。次の選挙において、「原発を全廃し、安全な日本を作る」と訴える政党を支持する。

参照→http://www.nuketext.org/mondaiten_cost.html

原発震災を防ぐ全国署名にご協力を!
クリック⇒http://www.geocities.co.jp/genpatusinsai/

 左の真ん中あたりに署名用紙ダウンロードあり。