苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

NZと日本の地震被害拡大要因のちがい

 わが国と同じような国土面積と同じような気候のニュージーランドという国のクライストチャーチでの地震。しかし、地震の被害拡大要因に関して言えば、わが国とさまざまな違いがある。
 NZ総人口はたった400万人であり、クライストチャーチの人口は38万人弱。都市の密集度が違うというのは、映像をみても一目瞭然である。NZでは広い道路ががらがらだから、消防車などがすぐに駆けつけることができたが、東京ならああは行かない。また、NZでは都市部で地震の際に火災の薪となる木造家屋が集中していないが、東京の高層ビルの足元は木造家屋が軒を接するように密集している。首都圏を直下型地震が襲うと、消防署はお手上げである。しかも、この直下型は30年以内に70パーセントの確率で必ずやってくる。
 筆者は、毎月2〜3回出張で東京に出なければならないが、新宿のビル街を歩きながら、地震のことを思う。その時には、ガラスの雨が降り注ぐのかなあとか、固定されていないオフィスのコピー機が降ってくるのかなあとか。もし生き残ったら、信州小海までどうやって歩いて帰ろうかな、帰りに田舎で食べるものがなくなったら、山下清みたいにランニングシャツになって「おにぎりください」といえばもらえるかな、とか。・・・実際、たいへんなことである。
 首都直下型地震は恐ろしい。どういう根拠によるのか死者1万千人とされているが、故郷の神戸の非常に限定された地域の直下型地震でさえ死者は6000人を超えたことを考えると、非現実的な希望的観測の数字に思える。「火炎合流」によって東京23区が火の海になれば人的被害はもう計算できない。それでも、首都直下型ならば何万人か何十万人かの生命が失われても、また東京は関東大震災の後のように、東京大空襲の後のように復興するだろう。


 しかし、復興を不可能にする要因がわが国にはある。NZとわが国の地震被害拡大要因として最大のそして決定的な違いは何かといえば、NZには原発が一つも存在せず、日本には54基もの原発が存在しているという事実である。NZが地震に遭うことを危険物を持たずに歩いている人が転んでけがをすることに譬えれば、日本が転ぶというのはのニトログリセリンの一升瓶を持った人が転倒するようなものである。
 浜岡原発は立て続けの事故で、ここしばらく5基とも停止していたが、1月25日に4号機は運転を再開した。浜岡原発マグニチュード8の東海巨大地震想定震源域の中央に位置しており地震の際には原発は1メートルジャンプするという。横揺れしか想定していない原発には耐えられない。
 特に懸念されているのは、炉の冷却水パイプの破断である。先年、北陸の原発で経年劣化でパイプが破断して、職員が被害にあった。そういうパイプは、巨大地震の縦横斜めの激しい揺れに耐えられない。冷却水パイプが破断すると、炉は急激に加熱しメルトダウンして原発は爆発する。偏西風の季節なら、数時間にしてチェルノブイリのように、東海地方と関東一円は人の住めない廃墟と化す。チェルノブイリ化したら復興はない。1986年4月26日1時すぎに発生した地震で、チェルノブイリ原発地震で破綻しメルトダウンした。
 東海大地震の今後30年の発生確率は87パーセント。

 チェルノブイリ原発隠されていた事実。チェルノブイリ原発事故の直接原因は地震であったが、その事実は隠蔽され、ある職員の人為的ミスが原因として公式発表された。地震が原因とすると、活断層を無視して原発を設置したことの責任を行政が問われるからである。
 実際には地震があり炉の温度が異常な速度で上昇したので、現場職員が緊急停止ボタンを押したが制御できず、メルトダウンして爆発したという。たぶん地震によって冷却水パイプが破断すると同時に、炉にひずみが生じたために、制御棒が入らなくなってしまったのだろう。

・・・それにしても思い出されるのは、イランで大きな地震があったときに古老の言ったことば。「地震はだあれも殺しはせんじゃった。わしらが造った家が人を殺したのじゃ。」