苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

みなさんの背後に

 妻も宮村武夫先生のはるか遠くを見通すまなざしに感動したひとりである。彼女がTCC神学生のとき、宮村先生のあるクラスを取った学生がとても少なかった。学生たちは内心、先生に申し訳なく感じていたという。そのとき、先生がおっしゃった。「わたしの目には皆さんの背後に続く雲のように多くの聖徒たちの群れが見えます。みなさんを通して、多くの人がキリストの福音にあずかり、またその人々を通して多くの神の民が生まれてくるのが。」妻は宮村先生のことが話題になると、いつもこの言葉を持ち出す。「先生のことばには、ほんとうに励まされたわ。」そういうとき、彼女の目にも星がきらきらとして、なんだか百年先を見ているような表情になるから不思議だ。
 「雲のような・・・」という表現は、ヘブル書12章1節「 こういうわけで、このように多くの証人たちが、雲のように私たちを取り巻いているのですから、私たちも、いっさいの重荷とまつわりつく罪とを捨てて、私たちの前に置かれている競走を忍耐をもって走り続けようではありませんか。」からの援用だろう。ヘブル書記者は、これをアベルから始まる旧約時代の歴代の聖徒たちの群れを表現するのに用いたのであるが、宮村先生はそれを未来に適用されたのである。いま目の前にいる、神学生たちに伝えられた福音が、その神学生たちのことばと生き方を通して他の方たちに伝えられていくならば、主の再臨までには、どれほど多くの、それこそ雲のように多くの聖徒たちが生まれてくることだろうか。宮村先生の目は、百年、いや千年先を見ていらしたのである。