苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

聖書の創造記事について

1.通常の方法なのか、特別の方法なのか

 神が被造物に対して行われる行為には、通常の方法と特別の方法がある。通常の方法において、神はご自分が定めたいわゆる法則をもちいて、被造物を導かれる。特別の方法においては、神は法則を超えて無から万物を創造した力をもって被造物を導かれる。これがいわゆる奇跡である。

 たとえば、主イエスガリラヤ湖を吹き荒れる嵐に向かって、「黙れ、静まれ」とお命じになって嵐を静められたという出来事は、創造主としてのことばの権威をもって鎮める特別の方法によるものだった。このことを正しく認識するには、主イエスが万物を支配する神としての権威をもっておられること対する信仰のパラダイムが必要である。もし、信仰がなく自然主義パラダイムしか持っていないと、彼は通常の自然法則からこの出来事を解釈しようとするから、「タイミングよく、偶然に静まっただけだ」などという愚かな解釈をすることになってしまう。

 では、聖書は、神が世界を創造した方法は、通常の方法なのか、それとも、特別の方法なのか、どちらだと述べているだろうか?神は世界を無から、ことばによって、創造されたとあるのだから、特別の方法によったと教えていることは間違いない。

 したがって、過去のある時点においてなされた神の世界創造がいかなるものであったのかを正しく知るには、現代の科学者たちがしているように、神が世界を摂理するために今も用いておられる通常の法則から推測することは無効である。聖書に記されたことを信仰によって受け入れてこそ、その真相を悟ることができる。

「信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、その結果、見えるものが、目に見えるものからできたのではないことを悟ります。」へブル11:3

 

2 奇跡(創造)には時間性・歴史性が含まれる

 主イエスは「エパタ」とおっしゃって聾唖の人を瞬時に、聴き話すことができるようになさった。いうまでもなく、これは特別摂理(奇跡)であるが、この奇跡にはこの聾唖者の過去のいわば失われた長い時間が含まれている。彼が生まれながらの聾唖者で仮に20歳であるとすると、彼が言語を話せるために、主イエスは単に彼の身体の言語機能の欠損部分をその権威によって創造しただけでなく、彼が幼少期から20歳にいたるまでに経験すべきだったが経験できなかった言語習得のための経験・学習ということも併せて、彼に与えたのである。そうでなければ、聴いて理解し話すための身体の諸器官が与えられても、彼は会話をすることはできなかった。このように、主の特別摂理(創造的な奇跡)には、時間性・歴史性というものが含まれているのである。

 最初の人、アダムとエバが創造されたとき、彼らは赤ん坊でなく大人として造られた。彼らは、単に身体的に大人として造られただけでなく、通常の場合母の胎内に宿って以来、その年齢に達するまでに経験すべきことがらを経験したものとして創造されたのである。さもなければ、彼らは会話をすることをはじめとして他の経験を要する行動をすることができなかった。

 同様に、神は、被造物世界全体をも、最初からある時間性・歴史性を帯びたものとして創造なさった。そうでなければ、世界全体がシステムとして機能しない。

 

3 宇宙は古く、地球は新しい

 「宇宙の年齢」とネットで検索すると138億年という数字が出て、「地球の年齢」と検索すると46億年と出てくる。これは現代の科学者たちが、放射性同位元素に基づいて計算したとのことである。通常摂理における法則にしたがって計測した結果の数字である。新説では宇宙の年齢は276億年ともいう。

 聖書はなんと言っているかというと、「初めに、神が天と地を創造した。」(創世記1:1)とあり、「天は大昔からあり、地は神のことばによって、水から出て、水を通して成った」(2ペテロ3:5)とあるから、宇宙は古く、地球は新しい。だから、創世記1章の記事は1章1節「初めに神が天と地を創造した」で「天」に触れているけれども、ほとんどは地球の生命圏に関する記事である。

 「日(ヨーム)」の長さについては24時間説と何億年とする長期間説がある。1日目に光、二日目に大気圏と上の水と下の水、三日目に陸地と植物、四日目に月・星・太陽に暦を担当させたこと、五日目に空飛ぶものと海に住むもの、六日目に陸上動物(昆虫、両生類・爬虫類・哺乳類)そして人間が造られたとある。四日目に天体に暦が委ねられたことを見ると、四日目以降は24時間と言えるが、その前の1~3日の長さについては断定することはできない。

 だが、少し考えれば、1日を何億年とする説は無理であることがわかる。三日目に造られた植物は受粉させてくれる昆虫がいなければ生存できない。ところが昆虫は六日目に造られたとある。このことにかぎらず、地球の自転と公転と太陽からのバランスの取れたエネルギーの供給や、地球上の無機物からさまざまの生命体までの相互依存関係があるというシステムを鑑みれば、地球の生命圏はごく短期間に組み立てられなければ、全体として機能しないのである。したがって、「宇宙は古く、地球は新しい」というきわめて大雑把な点では、ネット上の常識と共通するけれども、特に地球は進化論がいうようにダラダラ何10億年もかけて試行錯誤しながら今のようになったという解釈は、聖書にも地球の生命圏のシステムにも適合しない。