苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

短歌二首

秋空は藍と茜の溶け合ひてすでに昇れる淡き夕月

リフトにて吊り下げられて柚子浮かぶ湯槽に浸る冬至の午後を
                今井百合子


 かつて苫小牧福音教会に集われ、その後、札幌の教会に転じられ、今は札幌のケアハウスに住まわれる姉妹が詠まれた歌です。交流のある教会のI姉に来た手紙のなかに投稿された短歌のコピーがあり、そのうち、特にこの二首に感銘を受けたので、ここに紹介させていただきました。後者は二月の投稿で季節を外れていますが、湯気の向こうに浮かぶ柚子の色とかおりが、介護を受けるわが身のせつなさとあいまって、なんともしみじみさせられる歌です。
 

中澤秀一『グローブから介護へ』(ヨベル出版)

 好著です。家内は、リハビリでお世話になった先生ふたりにプレゼントするといって、アマゾンに2冊注文しました。
 前半は、憧れの巨人軍選手までの道のりと挫折、その後職を転々としてさまよった7年間、そして老人ホームで天職と奥さんとキリストとの出会い、そして、高卒から大学教授へという自伝。神戸人という、大阪人ほど強烈でなく、京都人ほどお高くなく、ほどほどの関西人のおかしさで書かれています。そして、生ける神が氏の人生を導いてこられたんだなあと感じさせられる、よい証(あかし)となっています。
 後半は、介護職、感情労働職、バーンアウト対策など、私のそしておそらく非常に多くの人々にとって全然認識不足であったことが丁寧に広く深く記されています。どなたも、読まれたらきっと得します。