苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

建国神話の霊的背景、   改憲問題 9条と20条はセット    

2026年2月11日 苫小牧福音教会「信教の自由を守る日」祈り会

第一部 1列王記12:25-33

建国神話の霊的背景

序  戦前2月11日は、紀元節と呼ばれ初代天皇とされる神武天皇が、樫原神宮で即位した日であるとしていた。建国記念の日を聖書から読み解く。

 

1 ヤロブアム1世の建国神話捏造

(1)王の恐怖

 ソロモンの死後、王国は南北に分裂することになります。ソロモンの息子レハブアムは南ユダ王国の王となり、北イスラエル王国の王はヤロブアムとなりました。25節。

 ところが、北イスラエルの王ヤロブアムは不安がありました。北イスラエル王国の国民は、南ユダ王国の都エルサレムへと神殿で祭りがあるごとに出かけてしまうからです。(26、27節)。

(2)建国神話の捏造

 恐れを解消するために、ヤロブアムはイスラエルの民の知るエジプト伝説の金の子牛の話に基づき建国神話を捏造し、これによって国民を統制することを企てた。28節  さらに、ヤロブアムはこの建国神話の神社を司る祭司たちを定めました。神はトーラーにおいてレビ族から祭司が選ばれることを定めておられたのに、その代用をつくったのです。31節

 そして、北イスラエル王国建国記念の日を8月15日と定めました。32,33節

 

2 我が国における国家神道

(1)明治新政府の恐怖

 明治新政府は日本もまた欧米列強によって植民地化されてしまうのではないかと恐れ、何とかして「日本人」の自覚、「愛国心」を持たせ統合し、国民軍を造ろうと企てました。

(2)国家神道、建国神話の制度化

 国家神道は、古事記日本書紀に基づき、平田神道と水戸学をもちいて天皇を現人神とし、国民をその臣民とし、忠君・愛国、富国強兵を教える。そのエッセンスは教育勅語である。

 「教育勅語」は、①道徳教育の根源は天皇の先祖にあり、②国民は天皇の家臣であると教えます。③親孝行し、兄弟仲良く、夫婦仲よく、友だちと仲良くしなさい、④しっかり勉強し、仕事に励み、⑤憲法を守り法律に従いなさい。⑥戦争になったら天皇家の存続のために兵士となり生命をささげよ、ということです。

(3)戦時下の国家神道政策

①学校教育で  教育は国家神道政策と結びつき、戦争遂行のための国民育成の手段として徹底されました。教科書は国家検定制となり、「大東亜共栄圏」の大義による戦争肯定、忠君愛国の内容に統一されました。戦争動員教育の一環として学校は「国策遂行機関」と化しました。

キリスト教会で   文部省や警察の指導により、学校だけでなく、キリスト教会でも神棚を設置することが要求されました。神棚は国家神道の象徴であり、天皇への忠誠を示す「国民儀礼」とされて宗教ではないと詭弁がなされました。

(3)大東亜共栄圏大義と侵略の実態と神社参拝強制

 欧米列強の植民地支配からの解放、大東亜共栄圏の理想を告げての進軍だったので、現地の人々は最初は歓迎しました。しかし、しばらくすると食料強制徴発、強制労働、従軍慰安婦徴用、虐待によって現地人を苦しめました。海軍主計中尉中曽根康弘氏がフィリピンで慰安所を設置した資料があります。日本人犠牲者は、新しい研究では376万人、アジア太平洋地域全体では2000万人以上の犠牲者とされます。

 日本軍がインドネシアマレー半島インドシナ半島を侵略した本当の理由は、石油とゴムを求めてのことでした。満州から手を引かない日本に連合国が石油禁輸措置を取ったことが背景にあります。

 そして、日本は進軍した各アジア諸国において、日本軍は現地人に宮城遥拝によって天皇を崇拝させ、神社を設営し、現地人に参拝させました

 

結論  国家の務めは、ローマ書13章にあるように、世俗的業務に限られています。権力者の都合のために、国民の心まで、国家宗教によって統制してはいけません。私たちは為政者が、同じ過ちを犯さないように、祭司として執り成し祈る務めがあります。

★フィリピンの慰安所設置についての資料については下のリンク先

koumichristchurch.hatenablog.jp


 

第二部  改憲問題:憲法9条と20条はセットである

 

1.憲法9条(戦争放棄条項)と20条(政教分離条項)はセットである

 

 もし9条を改めて、戦争ができるようにすると戦死者が出る。靖国神社護国神社は、国が戦死者を神々として祀り、戦意高揚を図る宗教施設である。だから、政府としては天皇と首相が靖国神社公式参拝できるようにしたい。小中学教育でも神社参拝させたい。

 

現行日本国憲法

二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない

 

自民改憲草案2012年4月27日

第二十条 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない

 

<解説>

①戦前、政府は神社参拝は宗教ではなく「国民儀礼」だと強弁したが、自民改憲草案では「社会的儀礼」と言い換えている。

②政府の当面の意図は、天皇および総理大臣など公務員の靖国神社公式参拝の合憲化である。だが、その延長線上には、公教育における神社参拝合憲化がある。戦中には教会にまで神棚設置・礼拝中の君が代・宮城遥拝を求め、説教を検閲した。改憲が成れば、同じ状況が起こりうる。

 聖書に照らせば神社参拝が偶像崇拝であることは明白である。

 

2.憲法改正のルール

 

 ①国会(衆参両院)で総議員の3分の2以上の賛成・・・出席議員でなく「総議員」

  ②国民投票で有効投票の過半数の賛成

  ③天皇が公布(形式的なもの)
 → 憲法改正成立

<解説>

① 2025年選挙以来、参議院248議席は「改憲勢力(自民・公明・維新・国民・参政)」181名で、すでに3分の2(166議席)を越えている。今回の衆議院議員選挙で自民党は単独で3分の2を占めた。

 だが、現在、与党を離れた公明党議員(21名)の立場は微妙。元の「福祉と平和の党」に立ち返って改憲勢力から抜ければ、改憲勢力は160名となり、参議院改憲発議ができなくなる。

国民投票投票率の下限がない。

③宣伝(テレビ・ネットCM)は自由なので資金力がものを言う。