「樽前山にはもう登りましたか?」苫小牧に住むようになって10年、何度も尋ねられました。そのたびに、「まだです。この夏にでも。」と答えていましたが、一日中晴天という予報が出ていたので、家内といっしょに、「これ以上年取ったら行けなくなる」ということで、ついに溶岩ドームを見てきました。
前任地の長野県小海町が標高900メートルくらいで、すぐ近くに2800メートルくらいの八ヶ岳があったので、なんとなく標高1000メートルちょっとの樽前山をなめていたところがありました。しかも、「7合目まで車で行って往復」ということなので、たいしたことあるまいと高を括って、軽装でペットボトル片手にスニーカーを履いて出かけました。ところが、とんでもない。10年間まっ平らな苫小牧に住んで来たのと、ここ10年で体重が増えたのと、そして何より直径1センチから3センチの丸い軽石がゴロゴロしている斜面のすべる道を歩くのとで、ヘロヘロになりました。
8合目あたりまでは木が覆った細い山道を行きますが、8合目からは木は無くなって背の低い高原植物の風景になります。北海道で1000メートル超の8合目あたりになると、本州の2000メートル以上の山のような植生になるのですね。振り返って見る支笏湖は真っ青で美しく、はるか東には日高連峰が見え、南は太平洋に臨む苫小牧港が見え、王子製紙の煙突がほんとに小さく見えました。記念写真、パチリパチリで嬉しかったです。溶岩ドームを背景にかわいい妻の写真がベストなんですが、恥ずかしいとのことで公開しません。オッサンの写真だけです。地中からせり出し固まった溶岩ドームは迫力がありました。軽井沢には鬼押し出しという、溶岩の柱群がありますが、こちらは大きな塊です。
登山は下りが危ないことを、今回を実感しました。底がつるつるのスニーカーで行ったのが災いしました。小さな軽石の石ころだらけの登山道なので、滑るまいと意識して下っても、滑るんです。ついに2回ズルズルっとこけて、指をちょっとだけ不名誉の負傷をしました。山をなめたらあきませんね。帰宅したら「慢心してたんでしょ」と次男に言われました。その通りです。登山者の多くはちゃんとトレッキングシューズや山靴を履いて、杖をついていました。本州の読者は北海道のちょっと高い山に登ろうという時は気を付けてください。
たしかに北海道の山は1000メートル程度でも8合目以上はお花畑が見られるので手軽です。しかし、樽前山のような火山であれば軽石の山道はとても歩きにくいので、それ用の靴が必要です。また全日晴天でないかぎり、急激な気温の低下に対する備えも必要です。本州では午後急激に気温が上昇して積乱雲と落雷があるのを避けて、朝暗いうちから登ったものですが、北海道の山はヒグマを避けるため暗いうちから登ることができませんから、そのあたりも注意です。




