このごろコオロギ食について話題になっていて、ものすごく毛嫌いする人もいます。私は信州に22年間住んでいて、イナゴとハチの子を食べていたので、別にどうということはないと感じています。信州伊那地方では川虫であるザザ虫というのも佃煮として食べます。それから、養蚕が盛んだった地域では、蚕から糸を取ったあとの幼虫を食べます。海の無い信州では、これらは貴重なたんぱく源でした。
虫はみな同じ味というわけでなく、やっぱり伝統的に食べられて来たイナゴは普通に食べやすいもので、信州ではお店に佃煮として普通に売られていました。ハチの子は高級品・珍味で、これは実際美味しいです。蚕は食べたことがありませんが、人に聞いたら、少し癖があるのだそうです。イナゴはバッタの仲間だということで、他のバッタを食べた人に聞いたらひどくまずかったとのことです。今話題のコオロギはおいしいそうで、だから粉末化して大々的に売り出そうということなのでしょう。
食物に関する禁忌というのは、それぞれ幼いころの食習慣によって身に付いた感覚・常識によるもので、今は旧約時代ではありませんから、絶対的な禁忌対象はありません。ただ虫によっては毒性がある可能性がありますから、その地域で伝統的に長年食べられて来たものを選ぶことが安全策でしょう。
虫を食べるのが残酷だという人がいますが、確かにそうですが、その点に関して言えば、むしろ牛や豚をや鶏を食べる方がもっと残酷だと私は感じます。
大人になってからでは食習慣は乗り越えられないのかというと、そんなことはありません。私は信州に住み始めたのは35歳でした。無理をしたわけではありませんが、私は伝道者としてパウロのようでありたかったのです。やっぱり自分たちが昔から食べているものを「気持ち悪い」などと言うよそ者から、聖書の話を聞きたいとは普通思わないでしょうから。
「私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷になりました。ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。ユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人たちには──私自身は律法の下にはいませんが──律法の下にある者のようになりました。律法の下にある人たちを獲得するためです。律法を持たない人たちには──私自身は神の律法を持たない者ではなく、キリストの律法を守る者ですが──律法を持たない者のようになりました。律法を持たない人たちを獲得するためです。弱い人たちには、弱い者になりました。弱い人たちを獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。何とかして、何人かでも救うためです。私は福音のためにあらゆることをしています。私も福音の恵みをともに受ける者となるためです。」1コリント9:19-23