たいへんお世話になった先輩が、新型コロナのための2度目のワクチンを接種の翌々日、突然亡くなった。検死の結果は、心臓あたりに短時間激しい炎症があったことだけが判明したが、ワクチンとの因果関係は不明とされた。年齢は六十代半ば。テレビニュースでも二十代の看護師さんが接種後、すぐに亡くなった例が報道されていた。だが、因果関係は不明だとされる。ご遺族が気の毒でならない。
厚生労働省が2021年8月4日に公にしたデータによれば、今年3年2月 17 日から令和3年7月 25 日までに報告された コロナワクチン接種後の死亡事例は828 件に上る。たしかに接種した人口比からいえば、微々たるものだとある人々はいうだろう。しかし、家族にとっては、たったひとりの人なのである。
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816282.pdf
828人の死亡者のうち、「ワクチンとの因果関係が認められないもの」は3件であり、「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」は825件だという。そして、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」は0件だとされている。
つまり、十分な治験を経ていないワクチンなので、ワクチンによってどのような副反応が生じるかということに関する情報が不足しているので、かりに死亡しても「因果関係不明」とされてしまうということではないのか。だから、ワクチンのせいで死亡した場合に保障するとされている4420万円というのは、実際には空約束なのである。国がそれを最初から意図したことかどうかは、知らないけれど。
政府としては、国民全体を守るために、ワクチン接種を推進するほか方法がないと考え、「最大多数の最大幸福」のために、少数の犠牲はやむをえないと考えているのであろう。そのことは、わからなくはない。だが、もしそうだとすれば、いわば国民全体が生き残るために犠牲となった少数の人々の遺族のためには惜しむことなく保障をするのは、当然の義務であると思う。