年末年始は集会が目白押しなので、牧師は新年1月の第一主日が終わって、ようやくホッと一息つきます。昨日午後、『根の深い木』という韓国歴史ドラマをgyaoでまとめて見ました。朝鮮史上、もっとも尊敬されている世宗にかんするものです。私はこれまで不見識にも、世宗について訓民正音(今でいうハングル)を定めた王という以外何も知りませんでした。王はたいへん有能な政治家であると同時に、学者・教養人であり、文字を持たない民衆を愛してハングルを定めたのだそうです。
ドラマは歴史物としての重厚さと、サスペンス的な面と、恋愛物としての面があり、歴史物にありがちな鈍重さはなくてテンポもよく、見始めるとやめられない止まらない危険性があります。
ハングル制定にはさまざまな意味で、壁がありました。一つはもちろん朝鮮語の音韻の調査と分析と、それにふさわしい文字の工夫ですが、それ以上に高く分厚い壁は中華秩序の中に位置づけられた朝鮮国としてのむずかしさです。ハングルが定められる前、文字(漢字)を独占していたのは両班(ヤンバン)と呼ばれる貴族階級(士大夫)で、庶民は文字を読むことができず、不利益を被っていました。王は、民衆をかわいそうに思って、表音文字であるハングルを作り、制定しようとするのですが、貴族階級は猛反対することはわかっています。ですから、あくまでも秘密裏にこの計画を進めていきます。また、宗主国である中国は世宗が叛逆を企てているのではないかと警戒します。
ドラマでもう一つ興味深いことがあったのは、銅の活字鋳造がされていたことです。私が受験生の頃、1970年代後半より前は、「ルネサンスの三大発明」は羅針盤・火薬・活版印刷術であり、火薬と羅針盤が大航海時代を招来し、グーテンベルクの活版印刷術が宗教改革を可能にしたと教科書にありました。それが、ちょうど私が受験生のころ、「従来ルネサンスの三大発明と呼ばれていた羅針盤と火薬は中国の発明、金属活版印刷術は朝鮮半島(高麗)の発明である」と教え始められるようになったのでした。活版印刷術によって、ルターの数々の教皇庁批判パンフレットが印刷されて瞬く間に広がり、ドイツ語訳聖書が出版されてこそ、宗教改革が前進したわけですが、それには極東における発明があったというのは不思議な感じがしますね。
「根の深い木」 https://gyao.yahoo.co.jp/player/00005/v12297/v1000000000000010737/