苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

函館訪問

 札幌から娘が、信州から次男が来たので、函館に行くことを思い立った。13日朝7時半に人間4人とワンコ1匹で出発。高速道路を使わないで、支笏湖のほとりを抜けて壮瞥洞爺湖長万部を通って行くルートにした。時間に制約されない旅なので、森の中を抜けたり、海の眺めを見たり、道の駅に寄ったりしながら行きたかった。ワンコのロダが、今日は連れて行ってもらえる、とウキウキしている。だが函館に到着すると、まずロダの宿に行く。お願いしますと預けると、ロダは足をつっぱって、目をまん丸に見開いて、ガビ〜ンという表情だった。かわいそうだけれど、ワンコが一緒では、入れる場所が少なすぎるのだ。ごめんね。

 腹ごしらえに、新鮮な海鮮をとても安く食べさせるという食堂に出かける。午後1時半ころで、すでにその日のピークは過ぎていたが、狭い店にお客がいっぱいで、二階席にすわると、海鮮丼を注文した。そのあと、赤レンガ倉庫街をぶらぶら歩く。明治から戦前には活躍したが、その後は無用の長物となっていたであろう赤レンガ倉庫を、誰が考え出したのか知らないが、観光資源にして中をショッピングモールにして再活用している。神戸でも小樽でも同じである。歴史を感じさせるこういう建物が、新しい建物よりも味がある。

 そのあと、丘の上にある函館ハリストス正教会を目指して八幡坂を上る。おしゃれに整備された坂を上っていき、振り返れば、港が望める。坂を上って行き、上から三番目の通りに日本基督教団の教会が見えて、次の通りは赤い屋根のカトリック、そして、坂を上り切った通りに銅葺きの緑の屋根の正教会の会堂である。神田のニコライ堂を二回りほど小ぶりにした建物である。中に入ってみると、イコンが並ぶ。しんとしていて、四人ほど腰かけていたので、私も座って瞑目した。

 そのあと、坂を下りて、立待岬へ出かけた。車で行くと、チンチン電車が走っている。懐かしい。乗ってみたいと思うが、かなわず。岬への道は車がかわせない狭さである。到着すると、晴天ではないけれど、海の向こうに下北半島津軽半島が望める。海をながめる人々は、呆然とでもなく陶然とでもなく、なんとも形容しがたい表情をしている。私たちも、風に吹かれてそんな顔をしてたたずんだ後、パチリパチリと写真撮影。

 半島を離れて、そろそろ宿に行こうかということになる。息子がスマホをみながらじょうずにナビゲーションしてくれて、到着。そのあと、花の湯という公衆浴場っぽい温泉に出かけて入浴した。近所の店で夕食後、もう外は真っ暗。函館の夜景は有名だけれど、この季節は山頂は雲におおわれて見えないことが多いというし、ロープウェー料金が馬鹿高いというので、市民の花火大会の見物スポットというフェリーターミナルから夜景を見ることにした。たしかに対岸に函館の町がきらきらと見えている。だが、フェリーに大型トラックを入れている最中で、船が邪魔で見えるのは半分。そこで、船の反対側に行くために、交通整理のガードマンたちの目を盗んでダッシュ。堤防のところにゆくと、堤防では夜釣りをしている青年たちがいた。夜景はというと、やっぱり、ポスターに見るようなすばらしいのは山頂からなんだな、と思った。見たい人は、秋の季節のよいときに行くべきなのだろう。

 翌朝、早々にチェックアウトして、食事のため朝市に出かける。朝市は午前5時からしているということで、観光客がたくさんうろうろしている。弐番館とかいう店で、五百円の海鮮五目丼。さすがこの値段だけあって、マグロは向こうが透けて見えたが、食欲のまだ出てこない朝に十分だった。そのあと、イカを釣り上げて、その場で食べさせるという店の前、小学生たちがイカを釣るのを見物。イカが水槽から助けてくれーというように、つんつん飛び出しているのがいたわしい。イカはタコと並んで、結構、頭の良い動物だそうである。そのあと、加藤水産でホタテを目の前で焼いてくれたのだった。これはヒットだった。

 「さて、もう見るものは見たねえ」と話していたら、五稜郭に行くのを忘れていた。函館に行って、五稜郭を訪ねない人も珍しい。そこで、五稜郭タワーに登って、眺める。土方歳三銅像を見て、見れば見るほど、現代の俳優みたいである。それから五稜郭の中をうろうろ散策する。散歩が終わって、最後のスポット、トラピスト修道院に行く前に、函館の名物コンビニ長谷川の焼き鳥をたべた。これはおいしかった。そのあと、函館名物塩ラーメンを食べようということになった。しかし、あじさいという有名なお店は列をなしているので、そこを避けて通りでみつけたラーメン屋にはいったら、そこは残念、九州ラーメンの店だったので、九州の塩を食べた。ラーメンはストレートの太麺という完全九州スタイルである。そのあと、ワンコのロダを迎えに行ったら、尻尾がちぎれるほどプルプルと振っていた。

 そうして、いよいよ最後のトラピスト修道院へと向かう。まずは高速を15分ほど走った後、海沿いの寂しい道をやはり20分ほどだったろうか。冬場は、激しい波と寒風吹き付けるどれほど荒涼とした風景なのだろうかと想像される。ガソリンを給油して、ついでにタイヤの空気圧とボルトナットの締具合を確認してもらった。高速道路のすべり止め加工の振動がきになったのだが、問題なしとのことで一安心。いよいよトラピスト修道院に到着する。海から小高い丘にまっすぐに向かう、それは見事な巨大な杉並木で、その終点に修道院の建物が見える。杉並木の間は舗装されているのだが、早々に車を降りて歩いていく人々がいる。あとで考えてみれば、そこで降りた方がよかったと思えるほどの、見事なすぎ並木で、並木の外側には美しい牧草地が広がっている。トラピスト修道院は厳律シトー会の修道院なのだそうで、1896年 (明治29) 11月21日 創立修道院開院式が行われている。中には予約していなかったので、入ることはできなかったが、玄関わきの狭い展示室に当時の写真が貼られてあり、修道士たちがもっこを担ぎ、スコップとツルハシをふるってこの地に修道院をつくり、痩せ地を開墾したようすをしのぶことができた。

 修道院見学(修道院への並木見学)を終えると、あとは帰路に着いた。高速で北斗まで行き、そこから長万部をめざして途中から海を右側に見ながら運転する。長万部から左に折れて山の中へと入っていき、シリトリをして、そのあとマジカルバナナをしながら、2時間ほど走ったら、洞爺湖が見えてきたので、畔で休憩することにした。右肩がひどく凝るので、「ゆとりろ」というホテルの日帰り温泉を利用することにした。この温泉は実に効能あらたかな感じですばらしかった。入浴が終わると、またひたすら真っ暗な森を走っていく。「鹿やヒグマが飛び出しませんように。」と祈って走っていくと、子ぎつねが反対車線でうろうろしていたのが見えた。支笏湖のわきを通り、右に折れて苫小牧への定規を引いたとおりに造られた道路をしばらく行くと、前方の空が明るくなってくる。私たちの町、苫小牧である。

 筆者にとって最も印象深かったのは、トラピスト修道院の並木道。あとは家族とワイワイ言いながら移動できるだけで楽しいということ。行く道、帰る道を守ってくださった主に感謝。