苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

新しい会堂椅子の導入


 メモ台の丸い穴は聖餐のグラスを入れるところです。



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 月曜日、長年使用したベンチ椅子を送り出して、昨日、朝から兄弟姉妹たちといっしょに会堂の椅子を組み立てました。多くの方が参加してくれたので、組み立て作業は早く終わりました。でも、こう並べるか、ああ並べるかと、楽しく試行錯誤しているうちに日が暮れました。

 諸教会の役に立つこともあろうかと思うので、導入までの試行錯誤をここに記録しておきます。
 従来のベンチ椅子では集会中、腰がつらいという方たちが増えてきたので、昨年春に個人椅子導入を決めていろいろと調査してきました。調査しながら、少しずつ椅子指定献金を積み立ててきました。
 今回導入した椅子は、ネット上なら「ダイニング用椅子」「介護椅子」で検索すると見つけることができるタイプのものです。もともとダイニングチェアとして設計されたそうですが、軽量で丈夫で安定感があり座り心地がよいということで、介護施設でベストセラーになり、そのおかげコストをおさえることができるようになったようです。
 苦労したのはメモ台のことです。苫小牧福音教会では、背にメモ台のついた長椅子を長年にわたって用いてきましたから、聖書を載せるメモ台付きの椅子がほしいということが兄弟姉妹の8割程度の要望として強かったのです。礼拝では賛美のときに立ち上がることが多いので、膝に聖書・歌集・ノート類を載せておくのは不便ですから、要望はもっともなことです。メモ台のついた椅子というと、一般に売られている大学のゼミ室にあるようなスチールフレームの折り畳み椅子かスタッキングチェア(積み重ね椅子)です。ところが、このタイプは1時間とか1時間半すわったまま講義を聞いたりディスカッションするにはいいのでしょうが、立ち上がろうとするとテーブルを除けなければなりません。礼拝中3回、4回立ったり座ったりするには不便なのです。座りっぱなしの礼拝スタイルにしなければならないでしょう。礼拝中、立ったり座ったりしやすくてメモ台付きという場合、従来のベンチタイプのように、やはり前の椅子の背にその台がついているというかたちが良いわけです。韓国製で、スチール製折り畳み椅子で、背にメモ台がついているものがあります。この椅子は座り心地もよく、メモ台機能もOKです。さすがに教会の多い韓国です。そういうわけで、私たちの教会もいったんはほぼこういう韓国製のメモ台付き折り畳み椅子を手に入れようかということになっていました。
 けれども、今までの木のベンチの風合いが好ましいと発言する方たちがいました。発言者だけでなく、おそらく兄弟姉妹のほとんどが同じように感じていたと思いますが、その点はあきらめるほかないかなあと思っていました。木製で背にメモ台が付いていて座り心地もよさそうな椅子は韓国製にあるものの、予算の倍を越えてしまうのです。しかも、重厚で重ねることができません。というわけで、木製のメモ台付きはほとんどあきらめかけていました。
 しかし、あきらめが悪く考え付いたのは、老人ホームや病院の談話室などでよく見かける木製フレームで座り心地のよい椅子です。軽量で4つほど重ねられます。きっと高価なものだと思い込んでいましたが、調べてみると、意外なことに送料込み6000円弱(自分で組み立てる)のが見つかりました(ベリーズインテリア)。そこで一つ取り寄せて何人かにためしに座ってもらいましたら、やはりうんと快適だということです。そこで、この木のフレームにメモ台をなんとかしてつけられないものかといろいろ考えました。しかし、取り付け方がどうしてもわかりません。そうしたら、一人の姉妹が『百万人の福音』に紹介されていた茨城県牛久市の牛久福音キリスト教会の礼拝堂の椅子の写真を見つけてこられました。木製の一人椅子で、しかも、背にメモ台が付いているではありませんか。そこで、さっそく電話をかけてみましたら、牧師さんが親切にも見取り図を描いて送ってくださいました。ポイントは、接合部分にキーホール(鍵穴)金具を使うということでした。キーホール金具というのは、壁掛け時計の裏についているあれです。これは思いつきませんでした。牛久の教会では、この椅子をドイツの家具屋さんに作ってもらったそうで、やはり私たちの予算の倍以上をかけたとのことでした。
 メモ台の構造自体は簡単なので、自分たちで工作しようかと最初は思いましたが、近所の木工所に試作してもらったら、その出来栄えがあまりに素晴らしいので、やはり腕のいい職人さんにお願いすることにしました。これはそれなりにお金がかかりましたが、塗装・取り付けは自分たちですることにして4000円ちょっとで、ほぼ予算にあわせることができました。さすが木の専門家ですから椅子のフレームとぴったり同じ色合いの板で作ってくださいました。
ニス塗は素人には無理ですから、オイル仕上げにしました。オイルを塗って、細かい紙やすりでけば立ったものをとって、もう一度仕上げに塗れば出来上がりです。届いた椅子の背にこれを取り付けます。キーホールを下げるビスの位置を決める物差し(治具)を木工所で作ってくれたので、そこに印をつけてビスを入れました。フレームの木が堅いので担当した兄弟は少々苦労しましたが、なんとかなりました。でも取り付けはプロに任せた方がよいかもしれません。
 一点だけ欠点を書いておきます。メモ台が付いているので簡単に積み重ねることはできません。積み重ねるには、メモ台を外さねばなりません。外すのは簡単ですが、手間です。当教会の場合は、礼拝堂の椅子を本格的に動かすのは年に3回ほどで、通常は椅子は並べたままですからおそらく問題ないのですが、たびたび椅子を片付ける必要があるならば、韓国の折り畳み式のメモ台付きの椅子がベストでしょう。
 もう一つ大事なことがありました。すでに月曜日に書いたようにように、長年使って慣れ親しんだベンチ椅子の行く先の問題でした。これはフェイスブックに出したら、ベンチ椅子を必要としている京都の教会が手を挙げてくださったので、送り出すことができました。たいへんありがたいことです。

 いろんなことで勉強になり、出会いや発見に神様の導きをおぼえました。

<追記>
1.実際に使い始めてもう一つありました。メモ台を作るにあたっては、材質を軽量のものにすること、後ろに張り出しすぎないことが大事だとわかりました。そうしないと、椅子が軽量に作られているので、バランスが悪くなって後ろに倒れやすくなってしまうからです。
2.メモ台は腕の良い職人さんに正確に作ってもらうことが大事です。もし正確に作られておらず、大きさにばらつきがあると、取り外しをして、再び装着するときに取り付けられなくなります。うちの場合は、職人さんが正確につくってくださったのでOKでした。